都道府県別年少人口割合ランキング(2023年度)

概要

年少人口割合とは、総人口に占める0歳から14歳までの人口の割合を指します。この記事では、2023年度の都道府県別年少人口割合のランキングを紹介します。

年少人口割合は、地域の将来性や活力を示す重要な指標であり、少子化の進行度や地域の持続可能性を測る基準となります。少子高齢化が進む日本では、全国的に年少人口割合の低下が課題となっていますが、その程度には地域差があります。

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上位県と下位県の比較

年少人口割合が高い上位5県

2023年度の年少人口割合ランキングでは、沖縄県16.1%(偏差値93.9)で全国1位となりました。沖縄県は出生率が高く、若い世代の割合が多いことが特徴で、他県と比較して突出した値を示しています。

2位は滋賀県13.0%(偏差値64.5)、3位は佐賀県12.9%(偏差値63.6)、4位は熊本県12.8%(偏差値62.6)、5位は宮崎県鹿児島県がともに12.7%(偏差値61.7)となっています。上位県には九州地方の県が多く、比較的出生率が高い地域が目立ちます。

年少人口割合が低い下位5県

最も年少人口割合が低かったのは秋田県9.1%(偏差値27.5)でした。秋田県は高齢化率が高く、若年層の流出も著しいことから、年少人口割合が極めて低くなっています。

46位は青森県10.0%(偏差値36.0)、45位は北海道10.1%(偏差値37.0)、44位は岩手県10.3%(偏差値38.9)、43位は高知県10.5%(偏差値40.8)となっています。下位県には東北地方の県が多く、若年層の流出と出生率の低下が顕著に表れています。

地域別の特徴分析

九州・沖縄地方の高い割合

九州・沖縄地方は全体的に年少人口割合が高く、沖縄県(1位、16.1%)をはじめ、佐賀県(3位、12.9%)、熊本県(4位、12.8%)、宮崎県・鹿児島県(5位、12.7%)、福岡県(7位、12.6%)と上位を占めています。これらの地域では、比較的出生率が高く、家族形成に対する価値観や地域コミュニティの支援体制が影響していると考えられます。

長崎県(9位、12.1%)と大分県(16位、11.6%)も全国平均を上回っており、九州地方全体として年少人口割合が高い傾向にあります。これは、九州地方が比較的家族を重視する文化的背景や、地域社会のつながりの強さが影響している可能性があります。

中国地方の意外な健闘

中国地方では、広島県(9位、12.1%)が上位10位以内に入り、鳥取県(11位、12.0%)、岡山県(13位、11.9%)、島根県(14位、11.8%)も全国平均を上回って健闘しています。特に鳥取県と島根県は人口規模が小さい県ながら、年少人口割合では上位に位置しており、これは地域の子育て支援策や若い世代の定住促進策が効果を上げている可能性があります。

一方、山口県(33位、11.0%)は中国地方の中では相対的に低い位置にありますが、それでも全国平均に近い水準を維持しています。

四国地方の南北差

四国地方では、香川県(16位、11.6%)が比較的上位にランクしている一方、徳島県(42位、10.6%)や高知県(43位、10.5%)は下位に位置しています。愛媛県(28位、11.1%)は中位にあります。

特に瀬戸内海側の香川県と太平洋側の高知県との差が顕著であり、これは産業構造や地理的条件の違いを反映していると考えられます。香川県は瀬戸内海側に位置し、本州との交通アクセスも良好で経済的にも比較的恵まれていることが、若い世代の定住につながっている可能性があります。

近畿地方の滋賀県の突出

近畿地方では、滋賀県(2位、13.0%)が突出して高い割合を示している一方、京都府(36位、10.8%)は下位に位置しています。兵庫県(15位、11.7%)、大阪府・奈良県(24位、11.2%)、和歌山県(28位、11.1%)は中位にあります。

滋賀県が高い割合を示している理由としては、大都市近郊のベッドタウンとして子育て世代が多く居住していることや、琵琶湖を中心とした自然環境の良さ、比較的広い住宅が確保しやすいことなどが考えられます。一方、京都府は歴史的・文化的中心地ながら、学生や単身者の割合が高いことが低い年少人口割合の一因となっている可能性があります。

関東地方の特徴

関東地方では、愛知県(8位、12.4%)が唯一の上位10位以内に入っていますが、これは中部地方の県です。関東地方では埼玉県(23位、11.3%)、千葉県・神奈川県(24位、11.2%)が中位に位置し、茨城県・栃木県(28位、11.1%)、群馬県(33位、11.0%)と続いています。

特筆すべきは、東京都(39位、10.7%)が下位に位置していることです。東京都は日本の政治・経済の中心地でありながら、単身世帯の多さや住宅事情、仕事と子育ての両立の難しさなどから、年少人口割合が低くなっていると考えられます。これは大都市特有の現象であり、経済活動の中心地と人口再生産の中心地が必ずしも一致しないことを示しています。

東北地方と北海道の低迷

東北地方は全体的に年少人口割合が低く、秋田県(47位、9.1%)、青森県(46位、10.0%)、岩手県(44位、10.3%)と下位を占めています。山形県(39位、10.7%)、福島県(36位、10.8%)も下位に位置し、宮城県(28位、11.1%)は東北地方では最も高いものの全国的には中位です。

北海道(45位、10.1%)も下位に位置しており、東北地方と同様に若年層の流出と出生率の低下が進行しています。特に秋田県は全国最低の年少人口割合を示しており、人口減少と高齢化の進行が著しい状況です。これらの地域では、若い世代の雇用機会の創出や子育て環境の整備が大きな課題となっています。

中部・北陸地方の多様性

中部・北陸地方では、愛知県(8位、12.4%)が上位にあり、福井県(11位、12.0%)も高い割合を示している一方、山梨県(35位、10.9%)や富山県(36位、10.8%)、新潟県(39位、10.7%)は下位に位置しています。石川県・岐阜県(16位、11.6%)、三重県(20位、11.5%)、長野県・静岡県(21位、11.4%)は中位にあります。

愛知県が高い割合を示している理由としては、自動車産業を中心とした製造業が盛んで雇用機会が多く、若い世代が定住しやすい環境があることが考えられます。一方、山梨県や富山県、新潟県は若年層の県外流出が進み、年少人口割合が低下していると考えられます。この地域内でも、産業構造や地理的条件によって年少人口割合に差が見られます。

年少人口割合の格差が生み出す課題

地域の持続可能性への影響

年少人口割合の低い地域では、将来的な担い手不足が深刻化し、地域社会の持続可能性に大きな影響を与えています。特に割合が10%を下回る秋田県(9.1%)では、将来的な人口減少がさらに加速することが懸念されています。

例えば、秋田県では年少人口割合の低さが地域の担い手不足に直結し、学校の統廃合や地域コミュニティの維持が困難になるなど、様々な課題が生じています。一方、沖縄県(16.1%)では相対的に将来の担い手が多く、地域社会の持続可能性という点では有利な状況にあります。

教育環境の地域差

年少人口割合の違いは、教育環境にも影響を与えています。割合の低い地域では学校の統廃合が進み、教育の選択肢が減少する一方、割合の高い地域では教育施設の充実が求められています。

例えば、青森県(10.0%)では、年少人口の減少により小中学校の統廃合が進んでおり、一部の地域では通学距離が長くなるなどの課題が生じています。一方、滋賀県(13.0%)では、相対的に子どもの数が多いため、教育施設の整備や充実が求められています。

社会保障制度への影響

年少人口割合の低下は、将来的な労働力人口の減少につながり、社会保障制度の持続可能性に課題をもたらします。特に割合の低い地域では、高齢者を支える現役世代の負担が増大する傾向にあります。

例えば、北海道(10.1%)では、年少人口割合の低さが将来の労働力人口の減少を招き、社会保障制度の維持が困難になる可能性があります。一方、佐賀県(12.9%)では、相対的に将来の担い手が多いため、社会保障制度の持続可能性という点では有利な状況にあります。

地域経済への長期的影響

年少人口割合は、将来の消費市場や労働市場の規模を左右する要素です。割合の低い地域では、長期的に地域経済の縮小が懸念される一方、割合の高い地域では相対的に将来の経済活力が期待できます。

例えば、岩手県(10.3%)では、年少人口割合の低さが将来の消費市場の縮小や労働力不足による経済活動の停滞をもたらす可能性があります。一方、熊本県(12.8%)では、相対的に将来の担い手が多いため、地域経済の持続的な発展という点では有利な状況にあります。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2023年度の都道府県別年少人口割合データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値は約11.6%、中央値は約11.4%とほぼ同じ値を示しています。これは、沖縄県を除けば、データの分布がほぼ対称的であることを示しています。

  2. 分布の歪み:沖縄県(16.1%)が他の都道府県と比べて特に高い値を示していますが、それを除けば、データの分布は比較的対称的です。2位の滋賀県(13.0%)との差も3.1ポイントと大きく、沖縄県の突出ぶりが際立っています。

  3. 外れ値の特定:沖縄県(16.1%)は、2位の滋賀県(13.0%)と比べても3.1ポイントも高く、統計的に見ると上側の外れ値と考えられます。一方、下位の秋田県(9.1%)も他県と比べてやや低い値を示しており、下側の外れ値と見なせる可能性があります。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約10.8%、第3四分位数(Q3)は約12.0%で、四分位範囲(IQR)は約1.2ポイントです。これは、中央の50%の都道府県の年少人口割合が10.8%から12.0%の間に収まっていることを示しています。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約1.2ポイントで、多くの都道府県が平均値から±1.2ポイントの範囲内に分布していることを示しています。変動係数(標準偏差÷平均値)は約10.3%となり、相対的なばらつきは小さいと言えます。ただし、最高値と最低値の差は7.0ポイント(16.1%−9.1%)に達し、地域間の格差が存在することを示しています。

まとめ

2023年度の都道府県別年少人口割合ランキングでは、沖縄県が16.1%で1位、秋田県が9.1%で47位となりました。上位には九州地方の県が多く、下位には東北地方の県が多く見られました。意外にも中国地方の県々が健闘しており、滋賀県が近畿地方で突出した値を示しています。

年少人口割合の地域差は、出生率の違い、若年層の移動パターン、地域の産業構造、子育て環境の充実度など様々な要因によって生じており、この差は地域の持続可能性、教育環境、社会保障制度、地域経済など多方面に影響を与えています。

統計分析からは、沖縄県が突出して高い値を示す一方、多くの都道府県は比較的狭い範囲に分布していることがわかります。しかし、最高値と最低値の差は7.0ポイントに達し、地域間の格差が存在することが確認できます。

少子化が進む日本において、年少人口割合の維持・向上は全国共通の課題ですが、その対応策は地域の特性に応じて異なるアプローチが必要です。出生率の向上策、子育て支援の充実、若い世代の定住促進など、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。

出典