2020年、日本の15歳以上の未婚男性人口は、東京都で約186万人と最も多く、鳥取県では約6.7万人と最も少ない結果となりました。この約28倍もの差は、単に人口規模の違いだけでなく、各地域の経済状況、社会構造、そして結婚観の多様性を色濃く反映しています。本記事では、このデータから日本の未婚化・晩婚化の現状と、それが社会に与える影響を読み解きます。
概要
未婚人口(男性)とは、一度も結婚したことがない男性の数を指します。この指標は、少子化の背景にある要因の一つとして注目されており、地域の結婚観や経済状況、年齢構成などを反映しています。2020年のデータでは、東京都、神奈川県、大阪府といった大都市圏が上位を占める一方、人口規模の小さい地方県が下位に位置するという明確な傾向が見られます。これは、都市部への若年層の流入と、地方における若年層の流出が、未婚男性人口の分布に大きく影響していることを示唆しています。
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上位5県の詳細分析(未婚男性人口が多い)
1位:東京都
東京都は186万人と、全国で最も多くの未婚男性を抱えています。日本の政治・経済・文化の中心地であり、教育機関や就業機会が豊富であるため、全国から若者が集まります。都市部では結婚に対する価値観が多様化しており、晩婚化や非婚化の傾向が強いことも、未婚男性人口の多さに影響しています。
2位:神奈川県
神奈川県は125万人で2位。東京のベッドタウンとして、都心へ通勤する若年男性が多く居住しています。多様なライフスタイルが許容される環境であり、結婚を急がない傾向が見られます。
3位:大阪府
大阪府は107万人で3位。西日本の経済・文化の中心地であり、若年層の雇用機会が豊富です。都市的な生活様式が浸透しており、結婚に対する価値観も多様化しています。
4位:埼玉県
埼玉県は100万人で4位。東京都に隣接し、都心への通勤者が多いのが特徴です。比較的住宅費が安く、若年層が居住しやすい環境ですが、結婚を急がない傾向が見られます。
5位:愛知県
愛知県は99万人で5位。自動車産業を中心とした製造業が盛んで、若年男性の雇用機会が豊富です。安定した経済基盤がある一方で、結婚に対する価値観の多様化も進んでいます。
下位5県の詳細分析(未婚男性人口が少ない)
47位:鳥取県
鳥取県は6.7万人と、全国で最も未婚男性人口が少ない県です。日本で最も人口が少ない県であり、若年層の県外流出が深刻です。これにより、未婚男性の絶対数が減少しており、結婚相手を見つける機会も限られています。
46位:島根県
島根県は7.9万人で46位。鳥取県と同様に人口減少と若年層の流出が課題です。地域に根差した産業が中心であり、若年男性の雇用機会が限られていることも影響しています。
45位:徳島県
徳島県は8.3万人で45位。四国地方の中でも人口が少ない県であり、若年層の県外流出が続いています。結婚相手を見つける機会が限られていることが、未婚化を加速させている可能性があります。
44位:高知県
高知県は8.5万人で44位。県土の多くを山地が占め、平野部が限られているため、人口が分散しています。若年層の雇用機会が限られていることも影響しています。
43位:福井県
福井県は9.2万人で43位。共働き率が高く、女性の社会進出が進んでいる一方で、若年男性の県外流出が課題です。結婚に対する価値観の多様化も進んでいます。
社会的・経済的影響
未婚男性人口の地域差は、結婚市場だけでなく、地域経済や社会保障制度にも大きな影響を与えます。未婚男性が多い大都市圏では、単身者向けの住宅やサービス産業が発展する一方で、将来的な少子高齢化の加速や、単身高齢者の増加による社会保障費の増大が懸念されます。
一方、未婚男性が少ない地方では、結婚相手を見つける機会が限られることで、若年層、特に女性の県外流出が加速し、地域社会の活力がさらに低下する可能性があります。これは、地域経済の縮小や、社会保障制度の担い手不足といった問題に直結します。未婚化・晩婚化は、単なる個人の選択の問題ではなく、地域社会全体の持続可能性に関わる重要な課題なのです。
対策と今後の展望
未婚化・晩婚化の進行を食い止めるためには、多角的なアプローチが必要です。大都市圏では、住宅費や教育費といった生活コストの負担軽減、そして仕事と育児の両立支援が重要です。地方では、若者が地元で安定した雇用を得られるような産業の創出、そして出会いの機会の提供が求められます。
特に、地域社会全体で結婚や子育てを応援する雰囲気の醸成も不可欠です。地域イベントでの交流機会の創出や、結婚相談所の充実、そして子育て支援策の強化などを通じて、若者が安心して結婚し、家庭を築けるような環境を整えることが重要です。多様な生き方を尊重しつつ、結婚を希望する若者が経済的・社会的障壁なく結婚できる社会を目指すことが、今後の大きな課題です。
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 336,934.5 |
中央値 | 196,207 |
最大値 | 1,858,843(東京都) |
最小値 | 67,485(鳥取県) |
標準偏差 | 364,054.3 |
データ数 | 47件 |
まとめ
2020年度の未婚男性人口ランキングは、日本の未婚化・晩婚化が、大都市圏への人口集中と地方の人口減少という、二つの大きな社会動態と密接に結びついていることを示しました。このデータは、単に未婚男性の数を減らすだけでなく、若者が希望するライフスタイルを実現できるような、多様で魅力的な地域社会を築くことの重要性を、改めて私たちに教えてくれます。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 1,858,843 | 91.8 | -3.0% |
2 | 神奈川県 | 1,247,300 | 75.0 | -6.0% |
3 | 大阪府 | 1,068,321 | 70.1 | -3.3% |
4 | 埼玉県 | 997,314 | 68.1 | -3.0% |
5 | 愛知県 | 994,378 | 68.1 | -3.7% |
6 | 千葉県 | 835,241 | 63.7 | -0.8% |
7 | 兵庫県 | 622,919 | 57.9 | -5.4% |
8 | 北海道 | 609,367 | 57.5 | -5.6% |
9 | 福岡県 | 596,816 | 57.1 | -2.8% |
10 | 静岡県 | 478,843 | 53.9 | +1.5% |
11 | 茨城県 | 388,322 | 51.4 | -1.0% |
12 | 広島県 | 334,622 | 49.9 | -2.9% |
13 | 京都府 | 322,421 | 49.6 | -5.3% |
14 | 宮城県 | 297,530 | 48.9 | -1.8% |
15 | 新潟県 | 283,460 | 48.5 | -3.3% |
16 | 群馬県 | 261,402 | 47.9 | +0.3% |
17 | 栃木県 | 258,140 | 47.8 | -2.9% |
18 | 長野県 | 251,615 | 47.7 | +0.1% |
19 | 福島県 | 236,346 | 47.2 | -3.2% |
20 | 岐阜県 | 236,232 | 47.2 | -1.4% |
21 | 岡山県 | 222,797 | 46.9 | -2.4% |
22 | 三重県 | 212,215 | 46.6 | -1.7% |
23 | 沖縄県 | 198,118 | 46.2 | -2.9% |
24 | 熊本県 | 196,207 | 46.1 | -3.5% |
25 | 滋賀県 | 173,070 | 45.5 | -1.3% |
26 | 鹿児島県 | 170,065 | 45.4 | -4.2% |
27 | 岩手県 | 155,845 | 45.0 | -1.6% |
28 | 山口県 | 155,754 | 45.0 | -3.9% |
29 | 青森県 | 155,328 | 45.0 | -2.7% |
30 | 奈良県 | 148,946 | 44.8 | -4.4% |
31 | 愛媛県 | 148,766 | 44.8 | -3.6% |
32 | 長崎県 | 147,122 | 44.8 | -5.3% |
33 | 石川県 | 140,255 | 44.6 | +1.3% |
34 | 富山県 | 129,336 | 44.3 | +1.3% |
35 | 山形県 | 129,195 | 44.3 | -1.9% |
36 | 大分県 | 127,521 | 44.2 | -2.4% |
37 | 秋田県 | 113,352 | 43.9 | -1.9% |
38 | 宮崎県 | 112,651 | 43.8 | -3.8% |
39 | 香川県 | 108,422 | 43.7 | -0.8% |
40 | 山梨県 | 105,739 | 43.6 | -3.0% |
41 | 和歌山県 | 104,970 | 43.6 | -3.4% |
42 | 佐賀県 | 94,400 | 43.3 | -1.8% |
43 | 福井県 | 92,024 | 43.3 | +0.4% |
44 | 高知県 | 85,035 | 43.1 | -2.2% |
45 | 徳島県 | 82,728 | 43.0 | -6.1% |
46 | 島根県 | 79,144 | 42.9 | +0.3% |
47 | 鳥取県 | 67,485 | 42.6 | -1.1% |