都道府県別県内総生産ランキング(2020年度)
概要
2020年度の都道府県別県内総生産(GDP)を比較すると、東京都が全国1位で約104兆円、大阪府が2位で約39兆円、愛知県が3位で約38兆円となっています。県内総生産は地域の経済規模を示す重要な指標であり、人口規模や産業構造、企業の集積状況などによって大きく異なります。
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上位5県と下位5県の比較
上位5県の特徴
- 東京都(約104兆円、偏差値76.5): 日本の首都として多国籍企業の本社や金融機関が集中し、サービス業を中心とした第三次産業が発達しています。国内GDPの約20%を占める経済の中心地です。
- 大阪府(約39兆円、偏差値59.3): 関西経済の中心として商業・サービス業が発達し、中小企業の集積も特徴的です。歴史的に商業都市として発展してきた経緯があります。
- 愛知県(約38兆円、偏差値59.0): トヨタ自動車を中心とした自動車産業が経済を牽引し、製造業の割合が高いのが特徴です。輸出型産業が多く、国際競争力の高い企業が集積しています。
- 神奈川県(約34兆円、偏差値57.9): 京浜工業地帯の一角として重化学工業が発達し、近年は研究開発機能も集積しています。横浜・川崎を中心に多様な産業が立地しています。
- 埼玉県(約22兆円、偏差値53.9): 首都圏の一角として製造業とサービス業がバランス良く発達しています。東京のベッドタウンとしての性格も持ち、消費市場としても重要です。
下位5県の特徴
- 鳥取県(約1.8兆円、偏差値44.4): 人口が最も少ない県であり、経済規模も小さくなっています。農林水産業の割合が比較的高く、製造業は電子部品などの特定分野に特化しています。
- 島根県(約2.4兆円、偏差値44.7): 中山間地域が多く、人口減少が進んでいる地域です。製造業では特殊鋼や電子部品などの特定分野に強みを持っています。
- 高知県(約2.4兆円、偏差値44.7): 四国の南部に位置し、森林率が高く第一次産業の割合が比較的高い県です。観光業も重要な産業となっています。
- 佐賀県(約3.0兆円、偏差値44.8): 九州北部に位置し、農業が盛んな地域です。陶磁器産業など特定の地場産業に強みを持っています。
- 徳島県(約3.0兆円、偏差値44.8): 四国東部に位置し、製薬業や LED 関連産業など特定分野に強みを持っています。第一次産業も比較的盛んです。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都(約104兆円、偏差値76.5)が全国1位、神奈川県(約34兆円、偏差値57.9)が4位、埼玉県(約22兆円、偏差値53.9)が5位、千葉県(約20兆円、偏差値53.3)が6位と県内総生産が多くなっています。首都圏として企業や人口が集中し、特に東京都は他の道府県を大きく引き離しています。茨城県(約13.8兆円、偏差値51.1)、栃木県(約8.9兆円、偏差値48.6)、群馬県(約8.0兆円、偏差値48.1)も比較的経済規模が大きく、首都圏経済圏の一角を形成しています。
関西地方
大阪府(約39兆円、偏差値59.3)が全国2位、兵庫県(約19.7兆円、偏差値53.2)が7位と県内総生産が多くなっています。関西圏の中心として商業・サービス業が発達していますが、近年は東京一極集中の影響もあり、相対的な地位が低下傾向にあります。京都府(約10.0兆円、偏差値49.3)は観光業や伝統産業、先端技術産業が共存する独自の経済構造を持っています。
中部・東海地方
愛知県(約38兆円、偏差値59.0)が全国3位と県内総生産が多くなっています。自動車産業を中心とした製造業が経済を牽引し、輸出型産業の集積が特徴的です。静岡県(約15.7兆円、偏差値51.9)も製造業が盛んで、全国10位となっています。岐阜県(約7.5兆円、偏差値47.9)や三重県(約8.0兆円、偏差値48.1)も自動車関連産業や電子部品産業などの製造業が発達しています。
九州・沖縄地方
福岡県(約18.9兆円、偏差値54.1)が全国9位と九州では最も県内総生産が多くなっています。九州の経済・文化の中心として多様な産業が発達しています。熊本県(約6.1兆円、偏差値46.6)、鹿児島県(約5.6兆円、偏差値46.3)が続きますが、佐賀県(約3.0兆円、偏差値44.8)や宮崎県(約3.6兆円、偏差値45.1)などは経済規模が小さく、地域間格差が見られます。沖縄県(約4.3兆円、偏差値45.5)は観光業を中心とした独自の経済構造を持っています。
東北・北海道地方
北海道(約19.7兆円、偏差値54.6)が全国8位と東北・北海道地方では最も県内総生産が多くなっています。広大な面積を持ち、農業や観光業が重要な産業となっています。東北地方では宮城県(約9.5兆円、偏差値48.6)が比較的経済規模が大きく、仙台市を中心に経済活動が集中しています。福島県(約7.8兆円、偏差値47.6)、岩手県(約4.7兆円、偏差値45.8)、青森県(約4.5兆円、偏差値45.6)、山形県(約4.3兆円、偏差値45.5)、秋田県(約3.5兆円、偏差値45.1)と続き、東北地方全体としては全国平均を下回る経済規模となっています。
県内総生産の格差と課題
県内総生産の地域間格差は、人口規模や産業構造、歴史的な発展経緯などによって生じています。特に東京一極集中が進む中で、地方との経済格差は拡大傾向にあります。また、2020年度はコロナ禍の影響を受けた年であり、特に観光業や飲食業に依存する地域では大きな打撃を受けました。
東京都と鳥取県の県内総生産には約58倍もの差があり、この格差は人口差(約13倍)を大きく上回っています。これは単に人口規模だけでなく、産業構造や生産性の違いも反映しています。
県内総生産の多寡だけでなく、一人当たりの県民所得や産業構造の多様性、イノベーション創出力なども地域経済の健全性を測る上で重要な指標です。単純な経済規模の拡大だけでなく、持続可能で質の高い経済成長が求められています。
統計データの基本情報
この統計データは2020年度の都道府県別県内総生産を示しています。県内総生産とは、一定期間内に各都道府県の領域内で新たに生み出された付加価値の総額であり、地域の経済規模を測る重要な指標です。
データの分析から、以下のような特徴が見られます:
- 分布の歪み: 県内総生産の分布は強い正の歪みを示しており、平均値(約16.7兆円)が中央値(約7.8兆円)を大きく上回っています。これは東京都の突出した生産額が平均値を押し上げているためです。
- 明確な外れ値の存在: 東京都(約104兆円)は明らかな外れ値であり、第2位の大阪府(約39兆円)との間にも大きな差があります。東京都を除外すると、データの分布はより均一になります。
- 四分位範囲: 上位25%の都道府県(第3四分位)は約19兆円以上、下位25%(第1四分位)は約4兆円以下となっており、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
- 標準偏差の大きさ: 標準偏差は約17.5兆円と非常に大きく、平均値とほぼ同等の値となっています。これは都道府県間のばらつきが極めて大きいことを示しています。
- 東京一極集中: 東京都だけで全国の約20%のGDPを占めており、経済活動の東京一極集中が顕著です。
まとめ
県内総生産は地域の経済力を示す重要な指標です。東京都を筆頭に大阪府、愛知県などの大都市圏で高い生産額を記録している一方、地方県では相対的に低い水準にとどまっています。
この地域間格差は、人口分布や産業構造、歴史的な発展経緯など様々な要因によって形成されてきました。特に東京一極集中の傾向は経済分野でも顕著であり、地方の経済力の相対的な低下が課題となっています。
今後は、地域資源を活かした産業振興やデジタル化の推進、イノベーション・エコシステムの構築などを通じて、地域経済の活性化と格差是正が求められています。また、交流人口・関係人口の拡大や産業構造の多様化により、地域経済のレジリエンスを高めることも重要です。
県内総生産は地域の経済力を示す重要な指標ですが、今後は単純な量的拡大だけでなく、質的な向上や持続可能性、住民の生活の質向上につながる経済発展が求められています。地域の特性を活かした独自の発展モデルの構築が重要な課題となっています。