都道府県別評価総地積割合ランキング(2022年度)

評価総地積割合とは

評価総地積割合とは、都道府県の総面積に対する固定資産税の課税対象となる土地(評価総地積)の割合を示す指標です。この割合が高いほど、都道府県の土地が固定資産税の課税対象として評価されている割合が高いことを意味します。

この指標は、各都道府県における土地の利用状況や課税状況を反映しており、平野部が多い地域や都市化が進んだ地域では高く、山岳地帯や森林が多い地域では低くなる傾向があります。また、地方自治体の税収基盤の広さを示す指標としても重要です。

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上位県と下位県の比較

評価総地積割合が高い都道府県の特徴

評価総地積割合が最も高いのは千葉県で68.6%(偏差値72.9)となっています。次いで茨城県が68.2%(偏差値72.5)、佐賀県が64.5%(偏差値68.6)と続きます。

千葉県と茨城県は関東平野に位置し、平坦な地形が多く、農地や宅地として利用可能な土地の割合が高いことが特徴です。特に千葉県は東京のベッドタウンとして都市化が進み、宅地や商業地などの課税対象となる土地の割合が高くなっています。佐賀県も佐賀平野を中心に平坦な地形が広がり、農地として利用されている土地が多いことが高い割合の要因と考えられます。

上位県に共通する特徴として、平野部が多く山地が少ないこと、農地や宅地として利用されている土地の割合が高いことが挙げられます。これらの地域では、土地の大部分が何らかの形で利用されており、固定資産税の課税対象となっています。

評価総地積割合が低い都道府県の特徴

一方、評価総地積割合が最も低いのは山梨県で29.4%(偏差値31.9)です。次いで富山県が32.0%(偏差値34.6)、宮崎県が32.7%(偏差値35.3)と続きます。

山梨県は富士山や南アルプスなど標高の高い山岳地帯が多く、急峻な地形が多いことが特徴です。このような地域では、利用が困難な土地や保安林などの課税対象外となる土地の割合が高くなります。富山県も立山連峰など3,000m級の山々が連なる北アルプスを有し、山地の割合が高いことが低い評価総地積割合の要因となっています。宮崎県も九州山地が広がり、森林面積の割合が高いことが影響しています。

下位県に共通する特徴として、山岳地帯や森林が多いこと、国立公園や保安林などの保護地域が多いことが挙げられます。これらの地域では、自然環境保全の観点から開発が制限されている土地や、地形的に利用が困難な土地が多く、固定資産税の課税対象とならない土地の割合が高くなっています。

地域別の特徴

地方別の評価総地積割合

地方別に評価総地積割合を見ると、以下のような特徴があります:

  1. 関東地方:平均56.2%と全国で最も高く、特に千葉県や茨城県、埼玉県で高い割合を示しています。
  2. 九州・沖縄地方:平均51.3%と2番目に高く、特に佐賀県や福岡県で高い割合となっています。
  3. 中国・四国地方:平均49.8%と全国平均を上回っており、特に香川県や岡山県で高い割合を示しています。
  4. 近畿地方:平均45.6%と全国平均に近く、大阪府や兵庫県で高い割合となっています。
  5. 東北地方:平均43.2%とやや低く、特に秋田県や青森県で低い割合となっています。
  6. 中部地方:平均39.5%と低く、特に山梨県や富山県、長野県で低い割合となっています。
  7. 北海道:34.7%と全国平均を大きく下回っています。

土地利用の地域差

評価総地積割合の地域差は、各地域の地形的特徴や土地利用の状況を反映しています。例えば、関東地方は関東平野を中心に平坦な地形が広がり、都市化や農地としての利用が進んでいるため、評価総地積割合が高くなっています。一方、中部地方は日本アルプスなどの山岳地帯が多く、森林や国立公園などの保護地域が多いため、評価総地積割合が低くなる傾向があります。

また、北海道は広大な面積を持ちながらも、原生的な自然環境や国有林が多いことから、評価総地積割合は低くなっています。これは、北海道の土地利用が他の地域と異なる特徴を持っていることを示しています。

評価総地積割合と地方財政

固定資産税収入への影響

評価総地積割合は、地方自治体の固定資産税収入に大きな影響を与えます。評価総地積割合が高い地域では、課税対象となる土地の割合が高いため、土地に対する固定資産税収入の基盤が広いと言えます。ただし、実際の税収は土地の評価額にも大きく依存するため、単純に評価総地積割合が高いからといって税収が多いとは限りません。

例えば、千葉県や茨城県は評価総地積割合が高く、課税対象となる土地の割合は多いですが、土地の評価額は東京都や大阪府などの大都市圏に比べると低い傾向があります。そのため、評価総地積割合と固定資産税収入の関係は、地域の経済状況や都市化の程度によって異なります。

地域間格差と財政調整

評価総地積割合の地域差は、地方自治体の財政基盤の格差にもつながっています。評価総地積割合が低い地域では、課税対象となる土地の割合が少ないため、土地に対する固定資産税収入が限られる傾向があります。特に山岳地帯や森林が多い地域では、自然環境の保全という公益的機能を担っている一方で、税収面では不利な状況にあると言えます。

この格差を是正するため、地方交付税制度などによる財政調整が行われています。また、森林環境税や森林環境譲与税などの制度を通じて、森林の公益的機能を評価し、森林を多く有する自治体への財政支援も行われています。

格差と課題

地域間の格差

評価総地積割合の都道府県間格差は大きく、最高の千葉県(68.6%)と最低の山梨県(29.4%)では約2.3倍の開きがあります。この格差は、地形的特徴や土地利用の状況、自然環境保全の取り組みなどを反映したものですが、地方自治体の財政基盤の格差にもつながっています。

土地利用と環境保全のバランス

評価総地積割合が高い地域では、土地の多くが何らかの形で利用されており、固定資産税の課税対象となっています。これは地方自治体の税収基盤としては有利ですが、一方で自然環境の保全や生物多様性の維持という観点からは課題もあります。逆に、評価総地積割合が低い地域では、自然環境の保全に貢献している一方で、財政面では不利な状況にあります。

持続可能な地域づくりのためには、土地利用と環境保全のバランスを取りながら、地域の特性に応じた土地利用計画を策定することが重要です。また、環境保全の価値を適切に評価し、それを地方財政に反映させる仕組みの構築も求められています。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

評価総地積割合の全国平均は47.2%、中央値は47.5%となっています。平均値と中央値がほぼ同じであることから、分布はほぼ対称的であることがわかります。

標準偏差は10.5ポイントと比較的大きく、都道府県間のばらつきが大きいことを示しています。四分位範囲(第3四分位数 - 第1四分位数)は15.7ポイントで、中央付近の都道府県でも評価総地積割合にかなりの差があることがわかります。

最大値(千葉県の68.6%)と最小値(山梨県の29.4%)の差は39.2ポイントと大きく、土地利用の状況に大きな地域差があることを示しています。

外れ値の分析

統計的に見ると、千葉県(68.6%)、茨城県(68.2%)、佐賀県(64.5%)は上方への外れ値と考えられます。これらの県は、全国平均を大きく上回る割合の土地が固定資産税の課税対象となっています。

特に千葉県と茨城県は、関東平野に位置し平坦な地形が多いことから、土地の大部分が何らかの形で利用されており、評価総地積割合が突出して高くなっています。一方、下方への外れ値としては山梨県(29.4%)が挙げられ、山岳地帯が多いことから評価総地積割合が特に低くなっています。

まとめ

評価総地積割合は、都道府県の総面積に対する固定資産税の課税対象となる土地の割合を示す重要な指標です。千葉県や茨城県、佐賀県などでは高い割合を示している一方、山梨県や富山県、宮崎県などでは低い割合となっており、都道府県間で大きな差があることがわかりました。

この差は、各地域の地形的特徴や土地利用の状況、自然環境保全の取り組みなどを反映していますが、地方自治体の財政基盤の格差にもつながっています。評価総地積割合が高い地域では課税対象となる土地の割合が多く、税収基盤が広い一方、評価総地積割合が低い地域では自然環境の保全に貢献している面もあります。

今後は、人口減少や高齢化、気候変動などの社会的・環境的変化に対応しながら、地域の特性に応じた土地利用と環境保全のバランスを取ることが重要です。また、自然環境の保全という公益的機能を適切に評価し、それを地方財政に反映させる仕組みの構築も求められています。評価総地積割合の地域差を踏まえた上で、持続可能な地域づくりと地方財政の安定化に向けた取り組みが重要となるでしょう。

出典