2020年度の非労働力人口において、東京都が3,086,922人で全国1位、鳥取県が171,701人で最下位となり、約2,915,221人という大きな格差が存在しています。非労働力人口とは15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を除いた人口で、専業主婦(主夫)、学生、高齢者などが含まれます。この指標は地域の人口構成や産業構造、雇用環境を反映する重要な指標であり、大都市圏での人口集中と地方部での人口減少が明確に現れています。
概要
非労働力人口は15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を除いた人口を指し、地域の人口構成や産業構造、雇用環境を反映する重要な指標です。専業主婦(主夫)、学生、高齢者、求職活動をしていない人などが含まれます。
この指標が重要な理由として、地域の潜在的労働力を把握できることがあります。労働市場の構造分析により、地域の雇用政策立案に活用できます。社会保障制度の需要予測として、給付対象者の規模を推定できます。地域経済の分析では、消費者としての非労働力人口の役割を評価できます。
2020年度の全国平均は約736,297人となっています。大都市圏では人口規模に比例して非労働力人口も多く、地方部では人口減少により非労働力人口も少ない傾向があります。
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上位5県の詳細分析
東京都(1位)
東京都は3,086,922人(偏差値83.1)で全国1位となりました。日本最大の人口を有する都市圏として、学生や高齢者、専業主婦(主夫)など多様な非労働力人口が集中しています。多くの大学が集中していることから学生人口が多く、高齢化の進行により高齢者人口も増加しています。
首都圏の経済中心地として多様な就業機会がある一方、高い生活コストにより専業主婦(主夫)の選択をする世帯も多く存在します。潜在的な労働力として活用できる高学歴の専業主婦(主夫)や就職活動中の学生も多く含まれています。
神奈川県(2位)
神奈川県は2,522,430人(偏差値75.0)で2位となりました。首都圏のベッドタウンとして人口規模が大きく、東京都への通勤者の家族である専業主婦(主夫)や学生が多く含まれています。横浜市や川崎市などの大都市部を抱え、多様な人口構成を有しています。
退職後の高齢者や専業主婦(主夫)など、地域活動やボランティア活動の担い手となる人材も多く含まれており、地域コミュニティの重要な構成要素となっています。
大阪府(3位)
大阪府は2,421,722人(偏差値73.6)で3位となりました。関西圏の経済中心地として大阪市を中心とする大都市圏を有し、人口規模の大きさが非労働力人口の多さに直接影響しています。サービス業など第三次産業の比重が高く、多様な就業形態が存在します。
非正規雇用も多いため、完全失業者や非労働力人口が多くなっている可能性があります。関西圏の教育機関も多く、学生人口も相当数含まれています。
埼玉県(4位)
埼玉県は2,077,861人(偏差値68.6)で4位となりました。首都圏のベッドタウンとして人口増加が続いており、東京都への通勤者の家族である専業主婦(主夫)や学生が多く含まれています。住宅地開発が進み、子育て世代の流入により専業主婦(主夫)の人口も多くなっています。
計画的な住宅地開発により住環境が整備され、専業主婦(主夫)が子育てに専念できる環境が整っていることも非労働力人口の多さに寄与しています。
愛知県(5位)
愛知県は2,034,457人(偏差値68.0)で5位となりました。名古屋市を中心とする中京圏の経済中心地として、人口規模の大きさが非労働力人口の多さに影響しています。自動車産業を中心とする製造業が盛んで、労働力人口も多いですが、同時に学生や高齢者、専業主婦(主夫)などの非労働力人口も多く存在します。
製造業の企業城下町的な性格により、専業主婦(主夫)の比率も一定程度存在し、地域の産業構造が非労働力人口の構成に影響を与えています。
下位5県の詳細分析
鳥取県(47位)
鳥取県は171,701人(偏差値41.3)で最下位となりました。日本で最も人口が少ない県であり、人口規模の小ささが非労働力人口の少なさに直接影響しています。人口減少と高齢化が進行し、特に若年層の県外流出により学生などの非労働力人口も減少しています。
農業や水産業など第一次産業が中心で、家族経営の事業体が多く、家族全体が労働力として参加する傾向があり、相対的に非労働力人口が少なくなっています。
島根県(46位)
島根県は215,408人(偏差値41.9)で46位となりました。人口規模の小ささに加え、高齢化率が高いものの絶対数としての非労働力人口は少なくなっています。農業や水産業、林業など第一次産業が盛んで、高齢者も含めて家族全体が労働に参加する傾向があります。
地域コミュニティが密接で、高齢者も地域活動や農業に参加することが多く、完全な非労働力人口になりにくい環境があります。
高知県(45位)
高知県は223,441人(偏差値42.0)で45位となりました。人口減少が深刻で、特に若年層の県外流出により非労働力人口も減少しています。農業や水産業が中心の産業構造で、家族経営の事業体が多く、家族全体が労働力として参加する傾向があります。
高齢化率は高いものの、農業や漁業に従事する高齢者も多く、完全な非労働力人口になりにくい地域特性があります。
福井県(44位)
福井県は224,706人(偏差値42.0)で44位となりました。人口規模が小さいことに加え、女性の労働力人口比率が全国で最も高いことが特徴です。繊維産業や眼鏡産業など女性が活躍できる産業が発達しており、専業主婦の割合が低く、非労働力人口が少なくなっています。
三世代同居率も高く、家族内での役割分担により女性も働きやすい環境が整っており、非労働力人口の抑制に寄与しています。
徳島県(43位)
徳島県は243,131人(偏差値42.3)で43位となりました。人口規模の小ささに加え、農業や製造業が中心の産業構造により、家族全体が労働力として参加する傾向があります。高齢化は進行していますが、農業に従事する高齢者も多く、完全な非労働力人口になりにくい環境があります。
地域の結束が強く、高齢者も地域活動や農業に参加することが多い地域特性があります。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都3,086,922人が1位、神奈川県2,522,430人が2位、埼玉県2,077,861人が4位、千葉県1,804,519人が6位と上位を独占し、首都圏の人口集中を反映しています。茨城県885,670人、群馬県594,813人、栃木県577,011人も中位に位置しています。
関東地方全体で非労働力人口が多い理由は、人口規模の大きさに加え、大学の集中による学生人口の多さ、高齢化の進行、専業主婦(主夫)の存在などが挙げられます。
関西地方
大阪府2,421,722人が3位、兵庫県1,662,746人が8位、京都府739,648人が13位と上位から中位に位置しています。奈良県457,742人、滋賀県400,966人は中位、和歌山県306,938人は下位となっています。
関西圏では都市部と郊外部で大きな格差があり、大阪府や兵庫県などの人口規模の大きい都府県と、滋賀県や和歌山県などの人口規模の小さい県との差が明確に現れています。
中部地方
愛知県2,034,457人が5位、静岡県1,110,677人が10位と上位に位置する一方、新潟県724,305人、長野県614,334人、岐阜県601,600人は中位、富山県324,724人、石川県340,116人、福井県224,706人、山梨県243,729人は下位に位置しています。
中部地方では人口規模による格差が大きく、愛知県や静岡県などの大都市圏と、北陸や山間部の県との差が顕著です。
九州・沖縄地方
福岡県1,503,105人が9位と上位に位置する一方、熊本県545,320人、鹿児島県519,906人、長崎県446,371人、大分県378,017人、宮崎県344,092人、沖縄県349,696人、佐賀県248,785人は中位から下位に分布しています。
福岡県を除いて人口規模が全国的に見て小さく、九州地方全体として非労働力人口が比較的少ない傾向があります。
中国・四国地方
広島県852,847人が12位と中位に位置する一方、岡山県582,661人、山口県468,285人、愛媛県434,778人は中位、香川県301,618人、徳島県243,131人、高知県223,441人、島根県215,408人、鳥取県171,701人は下位に集中しています。
中国・四国地方全体として人口規模が小さく、特に四国や山陰地方では人口減少により非労働力人口も少なくなっています。
東北・北海道地方
北海道1,693,785人が7位、宮城県707,132人が15位と比較的上位に位置する一方、福島県574,464人、青森県420,119人、岩手県401,556人、山形県345,708人、秋田県344,547人は中位から下位に分布しています。
東北地方全体として人口規模が全国的に見て小さく、人口減少と若年層の流出により非労働力人口も減少傾向にあります。
社会的・経済的影響
1位東京都と47位鳥取県の格差約2,915,221人は、主に人口規模の差を反映していますが、地域経済や社会構造にも大きな影響を与えています。
地域経済への影響として、非労働力人口が多い地域では消費者としての役割も大きく、地域経済の重要な構成要素となっています。潜在的労働力として活用できる人材も多く含まれており、適切な政策により労働市場への参加促進が可能です。
社会保障制度への影響では、非労働力人口が多い地域では社会保障給付の需要が高まり、財政負担が増加する可能性があります。特に高齢者や障害者などの給付対象者が多い地域では、制度の持続可能性が課題となります。
地域社会への影響として、非労働力人口の中には地域活動やボランティア活動の担い手となる人材も多く含まれており、地域コミュニティの活性化に寄与する可能性があります。
対策と今後の展望
地域格差の背景にある人口減少や高齢化に対応するため、潜在的労働力の活用促進が重要です。女性や高齢者、障害者などの就業支援により、労働力不足の解消と経済成長の促進を図る必要があります。
地域特性に応じた雇用政策の展開により、各地域の産業構造や人口構成に適した施策を実施する必要があります。非労働力人口の社会参加促進により、地域活動やボランティア活動への参加を通じた地域コミュニティの活性化を図ることも重要です。
社会保障制度の持続可能性確保のため、給付と負担のバランスを考慮した制度設計が必要となります。
指標 | 値 |
---|---|
平均値 | 778,807.8 |
中央値 | 519,906 |
最大値 | 3,086,922(東京都) |
最小値 | 171,701(鳥取県) |
標準偏差 | 696,745.2 |
データ数 | 47件 |
統計データの基本情報と分析
平均値約736,297人と中央値約446,371人が大きく乖離しており、データの分布が右に歪んでいることを示しています。これは東京都や大阪府などの一部の都府県で非労働力人口が特に多いことを反映しています。
分布の特徴として、データは全体として強い正の歪みを示しており、右に長い裾を持つ分布となっています。東京都3,086,922人が最も多く、鳥取県171,701人が最も少ないですが、その差は約2,915,221人と非常に大きく、極端な格差が見られます。
外れ値の影響では、東京都、神奈川県、大阪府などが上側の外れ値と考えられ、平均値を大きく上回っています。これらの都府県は人口規模が特に大きく、非労働力人口も多くなっています。
四分位範囲による分布の特徴では、第1四分位数(Q1)は約243,729人、第3四分位数(Q3)は約852,847人で、四分位範囲(IQR)は約609,118人です。これは中央の50%の都道府県の非労働力人口が243,729人から852,847人の間に収まっていることを示しています。
まとめ
2020年度の非労働力人口分析により、重要な発見がありました。
東京都が3,086,922人で全国1位となり、首都圏への人口集中を明確に示しています。鳥取県との間に約2,915,221人の格差があり、主に人口規模の差を反映しています。大都市圏では学生、高齢者、専業主婦(主夫)などの多様な非労働力人口が集中しています。
地方部では人口減少により非労働力人口も少なく、特に若年層の流出が影響しています。農業や水産業中心の地域では家族全体が労働力として参加する傾向があります。女性の労働参加率が高い地域では非労働力人口が相対的に少なくなっています。
今後は潜在的労働力の活用促進が重要になります。地域特性に応じた雇用政策の展開により、各地域の課題に対応した施策が必要です。継続的なデータモニタリングにより、効果的な労働政策と社会保障政策の策定を支援していくことが重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 () | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 3,086,922 | 83.1 | -11.7% |
2 | 神奈川県 | 2,522,430 | 75.0 | -9.6% |
3 | 大阪府 | 2,421,722 | 73.6 | -14.7% |
4 | 埼玉県 | 2,077,861 | 68.6 | -10.1% |
5 | 愛知県 | 2,034,457 | 68.0 | -9.9% |
6 | 千葉県 | 1,804,519 | 64.7 | -9.0% |
7 | 北海道 | 1,693,785 | 63.1 | -12.0% |
8 | 兵庫県 | 1,662,746 | 62.7 | -13.0% |
9 | 福岡県 | 1,503,105 | 60.4 | -10.8% |
10 | 静岡県 | 1,110,677 | 54.8 | -7.8% |
11 | 茨城県 | 885,670 | 51.5 | -9.0% |
12 | 広島県 | 852,847 | 51.1 | -10.3% |
13 | 京都府 | 739,648 | 49.4 | -14.2% |
14 | 新潟県 | 724,305 | 49.2 | -8.7% |
15 | 宮城県 | 707,132 | 49.0 | -8.9% |
16 | 長野県 | 614,334 | 47.6 | -9.4% |
17 | 岐阜県 | 601,600 | 47.5 | -10.4% |
18 | 群馬県 | 594,813 | 47.4 | -9.0% |
19 | 岡山県 | 582,661 | 47.2 | -12.0% |
20 | 栃木県 | 577,011 | 47.1 | -8.8% |
21 | 福島県 | 574,464 | 47.1 | -10.0% |
22 | 熊本県 | 545,320 | 46.6 | -10.3% |
23 | 三重県 | 529,859 | 46.4 | -12.3% |
24 | 鹿児島県 | 519,906 | 46.3 | -10.6% |
25 | 山口県 | 468,285 | 45.5 | -10.4% |
26 | 奈良県 | 457,742 | 45.4 | -11.8% |
27 | 長崎県 | 446,371 | 45.2 | -10.9% |
28 | 愛媛県 | 434,778 | 45.1 | -13.2% |
29 | 青森県 | 420,119 | 44.9 | -9.5% |
30 | 岩手県 | 401,556 | 44.6 | -8.8% |
31 | 滋賀県 | 400,966 | 44.6 | -10.8% |
32 | 大分県 | 378,017 | 44.2 | -10.1% |
33 | 沖縄県 | 349,696 | 43.8 | -12.3% |
34 | 山形県 | 345,708 | 43.8 | -10.1% |
35 | 秋田県 | 344,547 | 43.8 | -10.4% |
36 | 宮崎県 | 344,092 | 43.8 | -9.2% |
37 | 石川県 | 340,116 | 43.7 | -7.9% |
38 | 富山県 | 324,724 | 43.5 | -8.9% |
39 | 和歌山県 | 306,938 | 43.2 | -12.5% |
40 | 香川県 | 301,618 | 43.2 | -10.3% |
41 | 佐賀県 | 248,785 | 42.4 | -9.9% |
42 | 山梨県 | 243,729 | 42.3 | -10.8% |
43 | 徳島県 | 243,131 | 42.3 | -12.1% |
44 | 福井県 | 224,706 | 42.0 | -9.5% |
45 | 高知県 | 223,441 | 42.0 | -11.6% |
46 | 島根県 | 215,408 | 41.9 | -9.0% |
47 | 鳥取県 | 171,701 | 41.3 | -9.9% |