都道府県別労働力人口ランキング(2020年度)
概要
2020年度の都道府県別労働力人口を比較すると、東京都が全国1位で約619万人、神奈川県が2位で約431万人、大阪府が3位で約381万人となっています。労働力人口は総人口規模や産業構造、高齢化率などによって大きく異なり、大都市圏に集中する傾向があります。
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全国マップで見ると、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県などの大都市圏で労働力人口が多く、鳥取県、島根県、高知県などの地方県では少ない傾向が明確に表れています。これは経済活動の集中度や人口分布と密接に関連しています。
上位5県と下位5県の比較
上位5県の特徴
- 東京都(6,187,583人、偏差値89.4): 日本の首都として多様な産業が集積し、全国から労働力が流入しています。特に金融・情報通信・サービス業などの第三次産業が発達しており、高度専門人材の集積地となっています。
- 神奈川県(4,311,871人、偏差値74.3): 横浜・川崎を中心に製造業や港湾関連産業が発達し、また東京のベッドタウンとして多くの労働者が居住しています。研究開発拠点も多く立地しています。
- 大阪府(3,808,303人、偏差値70.3): 関西経済の中心として、製造業からサービス業まで幅広い産業が存在します。中小企業が多く、多様な雇用機会を提供しています。
- 愛知県(3,728,752人、偏差値69.7): 自動車産業を中心とした製造業が盛んで、関連企業の集積により安定した雇用を創出しています。名古屋市を中心に商業・サービス業も発展しています。
- 埼玉県(3,526,653人、偏差値68.0): 東京都に隣接するベッドタウンとしての性格が強く、多くの住民が東京都内に通勤しています。県内にも製造業や物流業などの産業基盤があります。
下位5県の特徴
- 鳥取県(279,059人、偏差値42.0): 人口が最も少ない県であり、労働力人口も全国で最も少なくなっています。第一次産業の比率が比較的高く、若年層の県外流出が課題となっています。
- 島根県(341,878人、偏差値42.5): 高齢化率が高く、労働力人口が少なくなっています。製造業や観光業の振興による雇用創出に取り組んでいます。
- 徳島県(342,700人、偏差値42.5): 四国の中でも労働力人口が少なく、高齢化と人口減少が進行しています。IT産業の誘致など新たな雇用創出に取り組んでいます。
- 高知県(321,639人、偏差値42.4): 中山間地域が多く、第一次産業の比率が高い一方で、若年層の流出により労働力人口が減少しています。
- 福井県(407,466人、偏差値43.0): 製造業の比率が高いものの、若年層の流出や高齢化により労働力人口が少なくなっています。原子力発電所を中心としたエネルギー関連産業も特徴的です。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都(6,187,583人、偏差値89.4)、神奈川県(4,311,871人、偏差値74.3)、埼玉県(3,526,653人、偏差値68.0)、千葉県(2,976,343人、偏差値63.6)など首都圏では労働力人口が多く、特に東京都は全国1位となっています。多様な産業が集積し、高度な専門人材から単純労働まで幅広い雇用機会が存在します。茨城県(1,418,080人、偏差値51.1)、栃木県(965,788人、偏差値47.5)、群馬県(987,514人、偏差値47.7)も比較的労働力人口が多い傾向にあります。
関西地方
大阪府(3,808,303人、偏差値70.3)が全国3位、兵庫県(2,476,987人、偏差値59.6)が7位と労働力人口が多くなっています。製造業からサービス業まで幅広い産業が存在しますが、東京一極集中の影響で相対的な地位が低下傾向にあります。京都府(1,132,732人、偏差値48.9)では大学が多く、研究開発人材の集積があります。
中部・東海地方
愛知県(3,728,752人、偏差値69.7)が全国4位と労働力人口が多くなっています。自動車産業を中心とした製造業が盛んで、安定した雇用を創出しています。静岡県(1,888,347人、偏差値54.9)や岐阜県(1,006,334人、偏差値47.8)でも製造業を中心に多くの雇用が生まれています。
九州・沖縄地方
福岡県(2,361,108人、偏差値58.7)が全国9位と労働力人口が多くなっています。九州の経済・文化の中心として、サービス業や情報通信業などの雇用が集中しています。一方で、佐賀県(415,241人、偏差値43.1)、長崎県(642,170人、偏差値44.9)、大分県(542,949人、偏差値44.1)、宮崎県(519,245人、偏差値43.9)などでは第一次産業の比率が高く、若年層の流出が課題となっています。
東北・北海道地方
北海道(2,449,395人、偏差値59.4)が全国8位と労働力人口が多くなっています。広大な面積を持ち、農業や観光業などの特色ある産業が発達しています。東北地方では宮城県(1,130,271人、偏差値48.8)を中心に雇用が集中する傾向があり、青森県(631,696人、偏差値44.8)、岩手県(628,881人、偏差値44.8)、秋田県(483,500人、偏差値43.7)、山形県(559,952人、偏差値44.3)、福島県(909,490人、偏差値47.1)では若年層の流出が課題となっています。
労働力人口の格差と課題
労働力人口の地域間格差は、産業構造の違いや若年層の大都市圏への流出、高齢化の進行度合いなどによって生じています。特に地方では生産年齢人口の減少により、労働力不足が深刻化しています。
また、単純な労働力人口の多寡だけでなく、労働生産性や雇用の質、働き方の多様性なども重要な要素です。テレワークの普及により、地方でも都市部の企業に勤務できる可能性が広がっています。
統計データの基本情報
この統計データは2020年度の都道府県別労働力人口を示しています。労働力人口とは、15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人数を指します。就業者は、調査期間中に収入を伴う仕事をした人や、仕事を休んでいた人を含みます。
データの分析から、以下のような特徴が見られます:
- 大都市圏への集中: 労働力人口は東京都を中心とする首都圏、大阪府・兵庫県を中心とする関西圏、愛知県を中心とする中部圏に集中しています。
- 地域間格差: 最大の東京都(約619万人)と最小の鳥取県(約28万人)では約22倍の差があります。
- 偏差値分布: 東京都(偏差値89.4)が突出して高く、神奈川県(偏差値74.3)、大阪府(偏差値70.3)、愛知県(偏差値69.7)が続いています。40県以上が偏差値50未満となっており、労働力人口の大都市圏集中が顕著です。
まとめ
労働力人口は地域の経済活力を示す重要な指標の一つです。大都市圏への労働力集中は、産業の集積や雇用機会の多さを反映していますが、同時に地方の過疎化や高齢化を加速させる要因ともなっています。
今後は、テレワークの普及や地方創生の取り組みにより、労働力の地理的分散が進む可能性があります。また、女性や高齢者の労働参加を促進することで、労働力人口の減少に対応することも重要です。
地域の特性を活かした産業育成や、多様な働き方を支援する制度の充実により、各地域が持続可能な労働環境を構築していくことが求められています。