都道府県別可住地面積率ランキング(2023年度)
可住地面積率とは
可住地面積率とは、都道府県の総面積に対する可住地面積の割合を示す指標です。可住地面積は、総面積から森林面積と主要湖沼面積を差し引いた面積であり、人間が居住や経済活動に利用できる土地の広さを表しています。
この指標は、都道府県の土地利用状況や開発可能性を理解する上で重要な指標となります。可住地面積率が高い地域は平野部が多く都市化が進んでいる傾向があり、低い地域は山岳地帯が多いことを示しています。
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上位県と下位県の比較
可住地面積率が高い都道府県の特徴
可住地面積率が最も高いのは大阪府で70.0%(偏差値72.3)となっています。これは大阪府の面積のうち約7割が人間の居住や経済活動に利用可能であることを示しています。次いで埼玉県と千葉県が共に68.5%(偏差値71.3)と続きます。
上位5県には大阪府、埼玉県、千葉県、東京都(64.9%、偏差値68.8)、茨城県(63.8%、偏差値68.1)が入っており、いずれも平野部が多く、都市化が進んだ地域です。特に大阪府は国内最大の平野である大阪平野を有し、山地が少ないことが高い可住地面積率につながっています。また、埼玉県や千葉県も関東平野に位置し、比較的平坦な地形が特徴です。
可住地面積率が低い都道府県の特徴
一方、可住地面積率が最も低いのは高知県で16.3%(偏差値35.7)です。これは高知県の面積のうち約8割以上が森林や湖沼であり、人間が居住できる地域が非常に限られていることを意味します。次いで島根県が18.9%(偏差値37.5)、岐阜県が20.8%(偏差値38.8)と続きます。
下位5県には高知県、島根県、岐阜県、山梨県(21.3%、偏差値39.1)、長野県(24.0%、偏差値41.0)が入っており、いずれも山岳地帯が多い地域です。特に高知県は四国山地が県土の大部分を占め、島根県も中国山地の影響で可住地が限られています。山梨県は富士山や南アルプスなどの山々に囲まれた内陸県であり、岐阜県も飛騨山脈など険しい山岳地帯が広がっています。これらの地域では、地形的な制約から居住可能な土地が限られています。
地域別の特徴
地方別の可住地面積率
地方別に可住地面積率を見ると、以下のような特徴があります:
- 関東地方:埼玉県(68.5%)、千葉県(68.5%)、東京都(64.9%)など高い値を示し、関東平野の広がりを反映しています。
- 近畿地方:大阪府(70.0%)が全国で最も高く、京都府や奈良県は山地が多いため比較的低い値となっています。
- 九州・沖縄地方:福岡県(55.4%)や佐賀県(54.7%)が比較的高く、沖縄県(49.3%)も高い値を示しています。
- 中部地方:愛知県(57.9%)を除き、山梨県(21.3%)、長野県(24.0%)、岐阜県(20.8%)など山岳地帯の影響で低い値が多いです。
- 東北地方:宮城県(43.7%)が比較的高いものの、岩手県(24.6%)など山地の多い県は低い値となっています。
- 中国・四国地方:香川県(53.5%)が高い一方、高知県(16.3%)、島根県(18.9%)は全国でも特に低い値です。
- 北海道:28.9%と全国平均に近い値ですが、広大な面積の中で地域差が大きいです。
平野部と山岳地帯の対比
日本の地形は平野部と山岳地帯の対比が明確で、これが可住地面積率に大きく影響しています。関東平野、大阪平野、濃尾平野などの大規模平野を有する都道府県は可住地面積率が高く、日本アルプスや四国山地、中国山地などの山岳地帯を多く含む県は可住地面積率が低くなっています。
可住地面積率と人口密度の関係
可住地面積率は、その地域の人口密度と密接な関係があります。可住地面積率が高い地域は一般的に人口密度も高い傾向にありますが、いくつかの興味深いパターンが見られます:
- 大都市圏:東京都(64.9%)、大阪府(70.0%)、神奈川県(61.0%)などは可住地面積率が高く、同時に人口密度も非常に高いです。
- 地方の平野部:茨城県(63.8%)や栃木県(46.9%)などは可住地面積率は高いものの、大都市圏ほどの人口集中は見られません。
- 山岳県:長野県(24.0%)や岐阜県(20.8%)などは可住地面積率が低く、限られた平野部に人口が集中する傾向があります。
可住地面積率が低い県では、限られた可住地に人口が集中するため、可住地あたりの人口密度(可住地人口密度)は実際には高くなることがあります。例えば、山梨県は可住地面積率が低い(21.3%)ですが、可住地に限ると人口密度は決して低くありません。
格差と課題
地域間の格差
可住地面積率の都道府県間格差は非常に大きく、最高の大阪府(70.0%)と最低の高知県(16.3%)では約4.3倍の開きがあります。この格差は自然地理的条件に起因するものであり、短期間で変化するものではありません。
土地利用の課題
可住地面積率が低い地域では、限られた平地を効率的に活用する必要があります。一方、可住地面積率が高い地域でも、都市化の進展による緑地の減少や生態系への影響が課題となっています。持続可能な土地利用のためには、地域の特性に応じたバランスの取れた開発と保全が求められます。
統計データの基本情報と分析
統計的特徴の分析
2023年度の可住地面積率データを分析すると、全国47都道府県の平均値は約37.5%となっています。中央値はこれよりも低く、データの分布がやや右に偏っていることを示しています。これは、大阪府(70.0%)や埼玉県・千葉県(共に68.5%)など一部の都府県で特に高い値を示していることが影響しています。
標準偏差は大きく、都道府県間のばらつきが大きいことを示しています。四分位範囲(第3四分位数 - 第1四分位数)も広く、中央付近の都道府県でも可住地面積率にかなりの差があることがわかります。
最大値(大阪府の70.0%)と最小値(高知県の16.3%)の差は53.7ポイントと非常に大きく、日本の地形の多様性を反映しています。
偏差値による分析
偏差値70以上の都道府県は大阪府(72.3)、埼玉県(71.3)、千葉県(71.3)の3都府県です。これらは全国平均を大きく上回る可住地面積率を持っています。
逆に偏差値40以下の都道府県は高知県(35.7)、島根県(37.5)、岐阜県(38.8)、山梨県(39.1)の4県であり、これらは可住地面積率が全国平均を大きく下回っています。
まとめ
可住地面積率は、都道府県の地形的特徴を反映する重要な指標です。大阪府や埼玉県など平野部が多い地域では高い値を示し、高知県や島根県など山岳地帯が多い地域では低い値となっています。
この指標は単に土地の利用可能性を示すだけでなく、人口分布や都市化の程度、自然環境の保全状況など、多くの社会経済的要素と関連しています。日本全体では国土の約3〜4割が可住地であり、限られた土地資源をいかに効率的かつ持続可能な方法で活用していくかが今後の課題となっています。
地域ごとの可住地面積率の違いを理解することは、地域計画や防災対策、環境保全など様々な政策立案において重要な基礎情報となります。特に人口減少社会において、限られた可住地をどのように活用していくかは、今後の日本の国土計画における重要なテーマとなるでしょう。