都道府県別外国人人口ランキング(2020年度)

概要

2020年度の都道府県別外国人人口データを分析すると、東京都が最も多く、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県が続いています。これらの地域は経済活動が活発で雇用機会が多く、また留学生や技能実習生の受け入れも積極的に行われています。

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上位5県と下位5県の比較

上位県の特徴

  1. 東京都(483,372人、偏差値80.2): 日本の首都として国際的なビジネスや教育の中心地であり、多様な国籍の外国人が居住しています。特に、IT・金融・サービス業などの分野で高度人材の集積が見られます。留学生も多く、教育機関の集積が外国人人口の増加に寄与しています。
  2. 愛知県(231,369人、偏差値65.3): 自動車産業を中心とした製造業が盛んで、特にブラジルやフィリピンなどからの外国人労働者が多く居住しています。技能実習生の受け入れも活発で、工場での就労が目立ちます。
  3. 大阪府(208,681人、偏差値63.8): 関西経済の中心地として、特に韓国・中国などのアジア諸国からの外国人が多く、飲食業やサービス業での就労が目立ちます。歴史的に在日コリアンのコミュニティも形成されています。
  4. 神奈川県(195,535人、偏差値62.9): 横浜・川崎などの大都市を抱え、首都圏のベッドタウンとしての役割も果たしています。国際港湾都市としての歴史から多様な外国人コミュニティが形成されています。製造業や物流業での就労も多いです。
  5. 埼玉県(161,439人、偏差値60.6): 首都圏に位置し、製造業や建設業での雇用機会が多いことから、特にアジア諸国からの労働者が多く居住しています。東京都のベッドタウンとしての性格も強く、比較的家賃が安いことも外国人居住者の増加要因となっています。

下位県の特徴

  1. 秋田県(3,651人、偏差値44.4): 人口減少が進む東北地方の県で、産業構造上、外国人労働者の需要が限られています。冬季の厳しい気候条件も外国人にとって障壁となっている可能性があります。
  2. 鳥取県(4,310人、偏差値44.5): 日本で最も人口が少ない県であり、外国人居住者も少ない状況です。近年は農業分野での技能実習生受け入れが増加傾向にありますが、全体的な雇用機会の少なさが影響しています。
  3. 高知県(4,220人、偏差値44.5): 四国地方の県で、都市部から離れていることもあり、外国人居住者は限られています。第一次産業が中心の産業構造も影響しています。
  4. 徳島県(5,033人、偏差値44.6): 四国地方の県で、産業規模が小さく、外国人労働者の雇用機会が限られています。ただし、大学や研究機関での留学生や研究者の受け入れは行われています。
  5. 青森県(5,409人、偏差値44.6): 東北地方北部に位置し、厳しい気候条件や雇用機会の制約から、外国人居住者が少ない状況です。水産業や農業での技能実習生の受け入れは見られます。

地域別の特徴分析

関東地方

東京都(483,372人、偏差値80.2)が全国1位、神奈川県(195,535人、偏差値62.9)が4位、埼玉県(161,439人、偏差値60.6)が5位、千葉県(133,389人、偏差値58.7)が6位と首都圏では外国人人口が多くなっています。これらの地域は雇用機会が豊富で、交通アクセスも良好なため、外国人にとって居住しやすい環境が整っています。特に東京都は他県と比較して突出しており、国際的なビジネス拠点としての役割が大きいです。茨城県(58,679人、偏差値52.8)も製造業や農業での外国人労働者受け入れが活発です。

関西地方

大阪府(208,681人、偏差値63.8)が全国3位、兵庫県(97,590人、偏差値55.7)が7位と関西圏でも外国人人口が多くなっています。特に大阪市の生野区や東大阪市などには在日コリアンのコミュニティが形成されています。京都府(53,404人、偏差値52.4)は観光産業や大学が多く、留学生や観光関連産業での就労が特徴的です。一方、奈良県(12,181人、偏差値45.5)や和歌山県(6,224人、偏差値44.7)では比較的少なくなっています。

中部・東海地方

愛知県(231,369人、偏差値65.3)が全国2位、静岡県(82,676人、偏差値54.6)が8位、岐阜県(49,208人、偏差値52.1)が13位と製造業が盛んな地域では外国人人口が多くなっています。特に自動車・電機・食品加工などの産業で多くの外国人が就労しています。愛知県豊田市や静岡県浜松市などには南米系外国人のコミュニティが形成されています。三重県(43,225人、偏差値51.6)も製造業での外国人雇用が活発です。

九州・沖縄地方

福岡県(70,018人、偏差値53.7)が全国9位と九州地方では最も外国人人口が多くなっています。福岡市を中心に留学生や高度人材の受け入れが進んでいます。熊本県(14,591人、偏差値45.7)や鹿児島県(10,037人、偏差値45.1)では農業や水産業での技能実習生受け入れが見られます。沖縄県(18,157人、偏差値46.1)は観光産業の発展に伴い、サービス業での外国人雇用が増加しています。

東北・北海道地方

北海道(34,321人、偏差値48.0)が東北・北海道地方では最も外国人人口が多くなっています。観光業や農業、水産加工業での雇用が中心です。宮城県(19,453人、偏差値46.3)は仙台市を中心に留学生や高度人材の受け入れが進んでいます。一方、秋田県(3,651人、偏差値44.4)や青森県(5,409人、偏差値44.6)では外国人人口が少なく、地域産業と連動した限定的な受け入れにとどまっています。

外国人人口の地域差と課題

産業構造との関連

外国人人口の地域差は、各地域の産業構造と密接に関連しています。製造業が盛んな愛知県や静岡県では技能実習生や製造業従事者が多く、都市部ではサービス業や専門職に従事する外国人が多い傾向があります。この産業構造の違いが、外国人の国籍構成や在留資格にも影響を与えています。

東京都と秋田県では約132倍もの差があり、この格差は人口規模の差(約13倍)を大きく上回っています。特に地方部では外国人人口が極めて少なく、多文化共生の取り組みも限定的になりがちです。

多文化共生の取り組み

外国人人口が多い自治体では、多言語による行政サービスや生活支援、教育支援などの多文化共生施策が進められています。例えば、愛知県や静岡県の一部自治体では、ポルトガル語やスペイン語による情報提供や相談窓口の設置が進んでいます。一方、外国人人口が少ない地域では、こうした支援体制の整備が遅れている場合もあり、地域間格差が課題となっています。

統計データの基本情報

この統計データは2020年度の都道府県別外国人人口を示しています。外国人人口とは、各都道府県に在留する外国籍住民の総数を指します。在留資格別や国籍別の内訳は含まれていません。

データの分析から、以下のような特徴が見られます:

  1. 分布の歪み: 外国人人口の分布は強い正の歪みを示しており、平均値(約60,000人)が中央値(約20,000人)を大きく上回っています。これは東京都や愛知県、大阪府などの突出した地域が平均値を押し上げているためです。
  2. 明確な外れ値の存在: 東京都(483,372人)は明らかな外れ値であり、第2位の愛知県(231,369人)との間にも大きな差があります。
  3. 四分位範囲: 上位25%の都道府県(第3四分位)は約60,000人以上、下位25%(第1四分位)は約10,000人以下となっており、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
  4. 標準偏差の大きさ: 標準偏差は約90,000人と非常に大きく、平均値の約150%に相当します。これは都道府県間のばらつきが極めて大きいことを示しています。
  5. 人口との相関: 外国人人口は総人口規模と高い相関関係にありますが、産業構造や国際化の度合いによって差異が生じています。

まとめ

外国人人口は地域の国際化や産業構造を反映する重要な指標です。東京都や愛知県、大阪府などの大都市圏や製造業が盛んな地域で多くの外国人が居住する一方、秋田県や鳥取県などの人口規模の小さい県では外国人人口も少ない状況にあります。

この地域間格差は、雇用機会の違いや生活環境、交通アクセス、教育機関の有無など様々な要因によって形成されてきました。特に近年では技能実習生や特定技能外国人の増加により、製造業や農業、介護分野などでの外国人労働者の受け入れが進んでいます。

今後は、人口減少・高齢化社会の中で外国人材の受け入れがさらに重要となる可能性があります。特に労働力不足が深刻な地方部では、外国人材の受け入れ環境の整備が地域活性化の鍵となるでしょう。

また、単に労働力として外国人を受け入れるだけでなく、地域社会の一員として共生していくための多文化共生施策の充実も重要です。言語・文化・習慣の違いを尊重しながら、相互理解を深めていくことが持続可能な多文化共生社会の構築につながります。

外国人人口のデータは、日本社会の国際化の進展や地域の産業構造、人口動態を反映しており、今後の多文化共生社会の構築に向けた政策立案の基礎資料となるものです。地域特性を踏まえた外国人受け入れ体制の整備が、持続可能な地域社会の実現につながると考えられます。

出典