都道府県別離婚件数ランキング(2022年度)

概要

離婚件数とは、1年間に届け出られた離婚の件数のことを指します。この記事では、2022年度の都道府県別離婚件数のランキングを紹介します。

離婚件数は、地域の人口規模や年齢構成、経済状況、家族観などを反映しており、家族政策や社会保障制度の基礎データとして重要な指標です。2022年度は、東京都や大阪府などの大都市圏で離婚件数が多く、鳥取県や島根県などの人口規模の小さい地方県で離婚件数が少なくなっています。

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上位県と下位県の比較

離婚件数が多い上位5県

2022年度の離婚件数ランキングでは、東京都19,255組(偏差値88.3)で全国1位となりました。東京都は日本の政治・経済・文化の中心地であり、人口が最も多い都道府県です。人口規模が大きいことが離婚件数の多さに直接影響していると考えられます。また、都市部では地方と比べて地域社会や親族のつながりが希薄になりがちで、離婚に対する社会的障壁が低い傾向があることも要因の一つです。

2位は大阪府14,462組(偏差値76.4)、3位は神奈川県12,797組(偏差値72.3)、4位は愛知県11,061組(偏差値68.0)、5位は埼玉県10,259組(偏差値66.0)となっています。上位県には大都市を有する都府県が多く、人口規模が大きいことが離婚件数の多さに直接関係していることがわかります。

離婚件数が少ない下位5県

最も離婚件数が少なかったのは鳥取県763組(偏差値42.4)でした。鳥取県は日本で人口が最も少ない県であり、人口規模が小さいことが離婚件数の少なさに直接影響していると考えられます。また、地方では地域社会や親族のつながりが強く、離婚に対する社会的障壁が高い傾向があることも要因の一つです。

46位は島根県813組(偏差値42.6)、45位は福井県850組(偏差値42.7)、44位は徳島県1,008組(偏差値43.0)、43位は佐賀県1,041組(偏差値43.1)となっています。下位県には人口規模の小さい地方県が多く、人口規模が小さいことが離婚件数の少なさに直接関係していることがわかります。

地域別の特徴分析

東北地方の離婚事情

東北地方では、宮城県(15位、3,046組)が最も離婚件数が多く、秋田県(41位、1,068組)が最も少なくなっています。その他の県は、青森県(32位、1,664組)、岩手県(34位、1,492組)、山形県(38位、1,197組)、福島県(20位、2,561組)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

宮城県で離婚件数が比較的多い理由としては、仙台市という東北地方最大の都市を有していることが挙げられます。仙台市には多くの人口が集中しており、都市的な生活様式が浸透していることが離婚件数の多さに影響していると考えられます。また、東北地方の中心都市として、周辺県からの人口流入も多いことが要因の一つです。

一方、秋田県で離婚件数が少ない理由としては、人口規模の小ささと高齢化の進行が挙げられます。秋田県は全国でも特に高齢化率が高く、若年層の県外流出も多いため、離婚の可能性がある年齢層の人口が少ないことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。また、伝統的な家族観が根強く残っていることも要因の一つかもしれません。

関東地方の都市化と離婚動向

関東地方では、東京都(1位、19,255組)、神奈川県(3位、12,797組)、埼玉県(5位、10,259組)、千葉県(6位、8,605組)と、首都圏の都県が軒並み上位を占めています。一方、茨城県(12位、3,900組)、栃木県(18位、2,658組)、群馬県(17位、2,765組)は中位に位置しています。

首都圏で離婚件数が多い理由としては、人口規模の大きさと都市的な生活様式が挙げられます。東京都や神奈川県には、多くの人口が集中しており、単純に婚姻数も多いことから離婚件数も多くなる傾向があります。また、都市部では地域社会や親族のつながりが希薄になりがちで、離婚に対する社会的障壁が低い傾向があることも要因の一つです。さらに、経済的な独立性が高い女性が多いことも、離婚の選択肢を広げている可能性があります。

一方、北関東の県で離婚件数が比較的少ない理由としては、人口規模の小ささと伝統的な家族観の残存が挙げられます。茨城県、栃木県、群馬県は、首都圏と比べると人口規模が小さく、また農村部も多いことから、伝統的な家族観が根強く残っている地域も多いことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。

中部・北陸地方の産業構造と離婚傾向

中部・北陸地方では、愛知県(4位、11,061組)が最も離婚件数が多く、上位に位置しています。一方、新潟県(25位、2,415組)、富山県(40位、1,074組)、石川県(37位、1,255組)、福井県(45位、850組)、山梨県(39位、1,128組)、長野県(21位、2,559組)、岐阜県(19位、2,565組)、静岡県(10位、4,957組)は中位から下位に位置しています。

愛知県で離婚件数が多い理由としては、名古屋市を中心とした大都市圏を有していることと、自動車産業を中心とした製造業の集積による人口の多さが挙げられます。愛知県は日本有数の工業地帯であり、多くの人口を抱えていることが離婚件数の多さに影響していると考えられます。

一方、福井県や富山県で離婚件数が少ない理由としては、人口規模の小ささと伝統的な家族観の残存が挙げられます。これらの県は人口規模が小さく、また伝統的な家族観が根強く残っている地域も多いことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。特に福井県は三世代同居率が高く、家族のつながりが強い傾向があります。

近畿地方の都市部と郊外の差

近畿地方では、大阪府(2位、14,462組)が最も離婚件数が多く、上位に位置しています。一方、京都府(13位、3,514組)、兵庫県(9位、7,902組)、滋賀県(27位、1,836組)、奈良県(28位、1,780組)、和歌山県(36位、1,386組)は中位から下位に位置しています。

大阪府で離婚件数が多い理由としては、人口規模の大きさと都市的な生活様式が挙げられます。大阪府は近畿地方の経済的中心であり、多くの人口を抱えていることが離婚件数の多さに影響していると考えられます。また、都市部では地域社会や親族のつながりが希薄になりがちで、離婚に対する社会的障壁が低い傾向があることも要因の一つです。

一方、滋賀県や奈良県で離婚件数が比較的少ない理由としては、ベッドタウンとしての性格と家族志向の強さが挙げられます。これらの県は大阪府や京都府のベッドタウンとしての性格が強く、家族を形成して郊外に移り住む傾向があることから、家族志向が強い人口が多いことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。

中国・四国地方の地域性

中国・四国地方では、広島県(11位、3,962組)が最も離婚件数が多く、上位に位置しています。一方、岡山県(16位、2,787組)、山口県(30位、1,757組)、鳥取県(47位、763組)、島根県(46位、813組)、徳島県(44位、1,008組)、香川県(35位、1,472組)、愛媛県(26位、1,928組)、高知県(42位、1,065組)は中位から下位に位置しています。

広島県で離婚件数が多い理由としては、広島市という中国地方最大の都市を有していることが挙げられます。広島市には多くの人口が集中しており、都市的な生活様式が浸透していることが離婚件数の多さに影響していると考えられます。また、自動車産業などの製造業も盛んであり、経済的な基盤が安定していることも、離婚の選択肢を広げている可能性があります。

一方、鳥取県や島根県で離婚件数が少ない理由としては、人口規模の小ささと伝統的な家族観の残存が挙げられます。これらの県は日本で最も人口が少ない県であり、また伝統的な家族観が根強く残っている地域も多いことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。

九州・沖縄地方の地域差

九州・沖縄地方では、福岡県(7位、8,444組)が最も離婚件数が多く、上位に位置しています。一方、佐賀県(43位、1,041組)、長崎県(31位、1,751組)、熊本県(22位、2,482組)、大分県(33位、1,635組)、宮崎県(29位、1,759組)、鹿児島県(24位、2,455組)、沖縄県(14位、3,087組)は中位から下位に位置しています。

福岡県で離婚件数が多い理由としては、福岡市という九州地方最大の都市を有していることが挙げられます。福岡市には多くの人口が集中しており、都市的な生活様式が浸透していることが離婚件数の多さに影響していると考えられます。また、九州地方の経済的・文化的中心として、周辺県からの人口流入も多いことが要因の一つです。

沖縄県は人口規模の割に離婚件数が多い傾向があります。これは、沖縄県の独特の歴史的・文化的背景や、若年層の結婚・出産が多いことが影響していると考えられます。若くして結婚するカップルは、経済的・精神的に不安定な状態で家庭を築くことが多く、それが離婚率の高さにつながっている可能性があります。

一方、佐賀県で離婚件数が少ない理由としては、人口規模の小ささと伝統的な家族観の残存が挙げられます。佐賀県は人口規模が小さく、また農村部も多いことから、伝統的な家族観が根強く残っている地域も多いことが離婚件数の少なさに影響していると考えられます。

離婚件数の格差がもたらす影響と課題

人口動態への影響

離婚件数の格差は、地域の人口動態にも影響を与えます。離婚率が高い地域では、単身世帯や母子・父子世帯が増加する傾向があり、これにより住宅需要や社会サービスの需要パターンが変化します。また、離婚後の再婚や家族再形成のパターンも地域によって異なり、これが出生率や人口構成に影響を与える可能性があります。

例えば、東京都(1位、19,255組)では、離婚件数が多く、単身世帯や母子・父子世帯の割合が高くなっています。これにより、小規模住宅の需要が高まり、また子育て支援サービスや放課後児童クラブなどの需要も増加しています。一方で、離婚後も都市部に留まる傾向があり、再婚や新たな家族形成の機会も比較的多いという特徴があります。

一方、鳥取県(47位、763組)では、離婚件数が少なく、伝統的な家族形態が維持される傾向があります。これにより、多世代同居や核家族世帯の割合が高く、大規模住宅の需要が比較的安定しています。また、地域社会や親族のサポートが得られやすいことから、公的な子育て支援サービスの需要が都市部ほど高くないという特徴があります。

子どもの福祉への影響

離婚件数の格差は、子どもの福祉にも影響を与えます。離婚率が高い地域では、離婚を経験する子どもの数も多くなり、これにより子どもの心理的・経済的な支援の必要性が高まります。一方、離婚率が低い地域では、離婚を経験する子どもの数は少ないものの, 離婚に対する社会的なスティグマが強い可能性があり、これが離婚家庭の子どもに対する偏見や差別につながる恐れがあります。

例えば、大阪府(2位、14,462組)では、離婚件数が多く、離婚を経験する子どもの数も多くなっています。これに対応するため、母子・父子家庭への経済的支援や、離婚後の子どもの心理的ケアを提供する施設・サービスの充実が求められています。また、学校や地域社会での理解促進も重要な課題となっています。

一方、福井県(45位、850組)では、離婚件数が少なく、離婚を経験する子どもの数も少ないですが、離婚に対する社会的なスティグマが強い可能性があります。これにより、離婚家庭の子どもが偏見や差別を受けるリスクがあり、こうした子どもたちの心理的サポートや社会的包摂の促進が課題となっています。

社会保障制度への影響

離婚件数の格差は、社会保障制度にも影響を与えます。離婚率が高い地域では、母子・父子家庭への支援ニーズが高まり、児童扶養手当や生活保護などの社会保障給付の需要が増加する傾向があります。一方、離婚率が低い地域では、こうした支援ニーズは相対的に低いものの、高齢化の進行により高齢者福祉のニーズが高まっている可能性があります。

例えば、神奈川県(3位、12,797組)では、離婚件数が多く、母子・父子家庭への支援ニーズが高まっています。これに対応するため、児童扶養手当の受給者数が多く、また母子・父子家庭向けの就労支援や住宅支援などの施策も充実させる必要があります。これにより、社会保障費の増加圧力が生じているという課題があります。

一方、島根県(46位、813組)では、離婚件数が少なく、母子・父子家庭への支援ニーズは相対的に低いですが、高齢化の進行により高齢者福祉のニーズが高まっています。これにより、介護保険や高齢者医療などの社会保障費の増加圧力が生じているという課題があります。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2022年度の都道府県別離婚件数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値は約3,638組、中央値は約1,825組と大きく乖離しており、データの分布が右に歪んでいることを示しています。これは、東京都や大阪府などの一部の大都市圏で離婚件数が突出して多く、多くの地方県では離婚件数が少ないことを意味します。

  2. 分布の歪み:データは全体として強い正の歪みを示しており、右に長い裾を持つ分布となっています。東京都(19,255組)が最も多く、鳥取県(763組)が最も少ないですが、その差は約25倍に達しており、極端な格差が存在します。

  3. 外れ値の特定:東京都(19,255組)、大阪府(14,462組)、神奈川県(12,797組)などは上側の外れ値と考えられ、平均値を大きく上回っています。これらの都府県は人口規模も大きく、都市的な生活様式が浸透していることが特徴です。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約1,200組、第3四分位数(Q3)は約3,500組で、四分位範囲(IQR)は約2,300組です。これは、中央の50%の都道府県の離婚件数が1,200組から3,500組の間に収まっていることを示しており、多くの県が比較的少ない離婚件数であることがわかります。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約4,500組で、変動係数(標準偏差÷平均値)は約124%となり、相対的なばらつきが非常に大きいことを示しています。これは、都道府県間の離婚件数の格差が非常に大きいことを意味します。

まとめ

2022年度の都道府県別離婚件数ランキングでは、東京都が19,255組で1位、鳥取県が763組で47位となりました。上位には東京都、大阪府、神奈川県などの大都市を有する都府県が多く、下位には鳥取県、島根県、福井県などの人口規模の小さい地方県が多く見られました。

離婚件数の地域差は、人口規模、年齢構成、経済状況、家族観など様々な要素を反映しており、この差は人口動態、子どもの福祉、社会保障制度など様々な面に影響を与えています。

統計分析からは、都道府県間の離婚件数の格差が非常に大きく、特に大都市圏と地方県の間で顕著な差があることがわかります。これは主に人口規模の差を反映していますが、都市的な生活様式や家族観の違いも影響していると考えられます。

少子高齢化が進む日本社会において、家族のあり方は多様化しており、離婚後の生活支援や子どもの福祉の確保が重要な課題となっています。特に、母子・父子家庭への経済的支援、子どもの心理的ケア、離婚後の共同養育の促進などの政策が求められています。また、離婚に対する社会的なスティグマの解消や、多様な家族形態を受け入れる社会的包摂の促進も重要な課題です。

出典