都道府県別年間商品販売額ランキング(2021年度)

概要

2021年度の都道府県別年間商品販売額データを分析すると、東京都が圧倒的な販売額を誇り、大阪府、愛知県が続いています。このデータは各都道府県の商業活動の規模を示す重要な経済指標であり、地域経済の活力や消費動向を反映しています。

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上位5県と下位5県の比較

上位5県の特徴

  1. 東京都(1,865,051億円、偏差値112.7): 日本の商業・経済の中心地として、圧倒的な販売額を誇ります。全国平均を大きく上回り、2位の大阪府の約3倍の規模です。国内外の大企業の本社機能が集中し、金融・情報通信・小売など多様な商業活動が展開されています。
  2. 大阪府(591,052億円、偏差値67.0): 関西経済の中心として、全国2位の販売額を記録しています。古くから商業都市として発展し、卸売業を中心に高い販売額を維持しています。
  3. 愛知県(409,925億円、偏差値60.5): 自動車産業を中心とした製造業が盛んで、商業も活発です。名古屋市を中心に商業集積があり、製造業関連の卸売業も発達しています。
  4. 神奈川県(232,304億円、偏差値54.1): 横浜・川崎などの大都市を抱え、首都圏の一角として高い販売額を示しています。港湾を活かした貿易関連の商業活動も盛んです。
  5. 福岡県(224,621億円、偏差値53.8): 九州地方の経済中心地として、地方では唯一20兆円を超える販売額を記録しています。九州全域をカバーする商業拠点として機能しています。

下位5県の特徴

  1. 鳥取県(12,114億円、偏差値46.2): 日本で最も人口が少ない県であり、商業規模も限られています。県庁所在地の鳥取市の商業力も他県と比較して小さいです。
  2. 島根県(13,718億円、偏差値46.3): 過疎化が進む地方県として、商業活動も限定的です。松江市や出雲市に商業が集中し、県全体としての販売額は低水準です。
  3. 高知県(14,283億円、偏差値46.3): 人口減少や高齢化の影響もあり、商業規模が小さくなっています。中山間地域が多く、商業集積が限られていることも要因です。
  4. 徳島県(14,787億円、偏差値46.3): 四国地方の中でも特に商業規模が小さい状況です。人口規模が小さく、大規模な商業集積地が少ないことが影響しています。
  5. 山梨県(17,485億円、偏差値46.4): 首都圏に近いものの、商業規模は限定的です。甲府市周辺に商業が集中し、山間部が多い地理的特性も影響しています。

地域別の特徴分析

関東地方

東京都(1,865,051億円、偏差値112.7)を中心に、神奈川県(232,304億円、偏差値54.1)、埼玉県(178,215億円、偏差値52.2)、千葉県(133,998億円、偏差値50.6)と首都圏で高い販売額を記録しています。特に東京都は全国の約20%を占める圧倒的な販売額で、国内商業の中心となっています。茨城県(67,571億円、偏差値48.2)、栃木県(56,082億円、偏差値47.8)、群馬県(55,568億円、偏差値47.8)も首都圏の外縁部として一定の商業規模を維持しています。

関西地方

大阪府(591,052億円、偏差値67.0)を中心に、兵庫県(154,149億円、偏差値51.3)、京都府(69,979億円、偏差値48.3)と関西圏でも高い販売額を示しています。特に大阪府は卸売業の集積地として機能し、西日本の商業中心地となっています。一方、滋賀県(28,400億円、偏差値46.8)、奈良県(18,568億円、偏差値46.5)、和歌山県(20,696億円、偏差値46.5)は大阪府への購買力流出の影響もあり、販売額は低めとなっています。

中部・東海地方

愛知県(409,925億円、偏差値60.5)が中心となり、静岡県(116,424億円、偏差値50.0)、岐阜県(44,142億円、偏差値47.4)、三重県(38,451億円、偏差値47.2)と続いています。愛知県は自動車産業を基盤とした経済力を背景に高い販売額を記録していますが、他県は比較的中規模の販売額にとどまっています。

九州・沖縄地方

福岡県(224,621億円、偏差値53.8)が九州経済の中心として高い販売額を示していますが、他の九州各県は低水準にとどまっています。熊本県(42,630億円、偏差値47.3)、鹿児島県(39,506億円、偏差値47.2)が比較的高いものの、佐賀県(17,501億円、偏差値46.4)、長崎県(27,841億円、偏差値46.8)、大分県(24,184億円、偏差値46.7)、宮崎県(24,891億円、偏差値46.7)、沖縄県(29,413億円、偏差値46.8)は全国平均を大きく下回っています。

東北・北海道地方

北海道(179,076億円、偏差値52.2)が地域内で最も高い販売額を示し、宮城県(115,189億円、偏差値49.9)が東北の中心として機能しています。一方、青森県(30,919億円、偏差値46.9)、岩手県(32,843億円、偏差値47.0)、秋田県(21,660億円、偏差値46.6)、山形県(24,333億円、偏差値46.7)、福島県(44,780億円、偏差値47.4)は全国平均を下回る販売額となっています。

年間商品販売額の格差と課題

年間商品販売額の地域間格差は、人口分布や産業構造、交通インフラの整備状況などによって生じています。特に東京一極集中の影響は商業分野でも顕著であり、東京都と地方の格差は拡大傾向にあります。

東京都と最下位の鳥取県では約154倍もの販売額の差があり、都市部と地方の経済格差が顕著に表れています。この格差は人口規模だけでなく、商業施設の集積度や消費力の違いも反映しています。

また、地方では人口減少や高齢化により、商店街の衰退やショッピングセンターの撤退などが進み、地域住民の買い物環境にも影響を与えています。特に中山間地域や離島では「買い物難民」問題も深刻化しています。

統計データの基本情報

この統計データは2021年度の都道府県別年間商品販売額を示しています。年間商品販売額とは、卸売業・小売業の事業所が1年間に販売した商品の総額(消費税を含む)を指します。

データの分析から、以下のような特徴が見られます:

  1. 極端な分布の歪み: 年間商品販売額の分布は強い正の歪みを示しており、平均値が中央値を大きく上回っています。これは東京都の突出した販売額が平均値を押し上げているためです。
  2. 明確な外れ値の存在: 東京都(約186万億円)は明らかな外れ値であり、第2位の大阪府(約59万億円)との間にも約3倍の差があります。東京都を除外すると、データの分布はより均一になります。
  3. 四分位範囲の広さ: 上位25%の都道府県と下位25%の間には大きな差があり、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
  4. 標準偏差の大きさ: 標準偏差は非常に大きく、平均値の約2倍以上に相当します。これは都道府県間のばらつきが極めて大きいことを示しています。
  5. 東京一極集中: 東京都だけで全国の約20%の販売額を占めており、商業活動の東京一極集中が顕著です。

まとめ

年間商品販売額は地域の商業活力を示す重要な指標です。東京都を筆頭に大阪府、愛知県などの大都市圏で高い販売額を記録している一方、地方県では相対的に低い水準にとどまっています。

この地域間格差は、人口分布や産業構造、歴史的な商業集積の形成過程など様々な要因によって形成されてきました。特に東京一極集中の傾向は商業分野でも顕著であり、地方の商業力の相対的な低下が課題となっています。

今後は、EC(電子商取引)の普及やデジタル技術の活用により、地理的制約を超えた商業活動の可能性が広がっています。地方の事業者がオンラインを活用して販路を拡大することで、地域間格差を縮小する可能性があります。

また、地域の特産品や観光資源を活かした商業戦略、地域内経済循環の強化、コンパクトシティ政策などを通じて、持続可能な地域商業の構築が求められています。商業は地域経済の重要な基盤であり、雇用創出や地域活性化の源泉となるため、各地域の特性に応じた商業振興策の展開が重要です。

出典