2014年度の都道府県別農業就業人口(販売農家)は、北海道が96,557人(偏差値73.9)で全国トップ、東京都が10,986人(偏差値34.5)で最下位です。全国平均は約44,610人で、トップの北海道と最下位の東京都では約8.8倍の差があり、農業の地域性が非常に強いことがわかります。
概要
農業就業人口は、自営農業に主として従事した世帯員の数を指し、その国の農業を支える「担い手」の規模を示す基本的な指標です。このデータは、食料の安定供給、地域経済の維持、そして国土の保全といった、農業が持つ多面的な機能の持続可能性を評価する上で不可欠です。どの地域が日本の食料生産を支えているのか、また、どの地域で農業の担い手確保が課題となっているのかを浮き彫りにします。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
北海道(1位)
96,557人(偏差値73.9)。2位以下を大きく引き離しての1位です。広大な農地を活かした大規模な畑作、稲作、酪農が展開されており、日本の食料基地としての役割を明確に示しています。
茨城県(2位)
89,594人(偏差値70.7)。首都圏に位置する地の利を活かし、野菜や果物、米など多様な農産物を供給する大消費地の食料庫です。農業産出額も全国トップクラスを誇ります。
長野県(3位)
82,922人(偏差値67.6)。冷涼な気候を活かした高原野菜や、リンゴ・ブドウなどの果樹栽培が盛んです。多様な品目を栽培する集約的な農業が、多くの就業人口を支えています。
新潟県(4位)
79,324人(偏差値66.0)。「米どころ」として名高く、広大な越後平野での稲作が農業の中心です。伝統的に農業が盛んな地域であり、多くの人々が農業に従事しています。
福島県(5位)
77,703人(偏差値65.2)。米や果樹(桃、梨など)、野菜と、バランスの取れた農業が展開されています。東日本大震災からの復興過程で、農業の再生が重要なテーマとなっています。
下位5県の詳細分析
東京都(47位)
10,986人(偏差値34.5)。日本の首都として都市化が極限まで進んでおり、農地面積は非常に限定的です。練馬大根などの伝統野菜を生産する都市農業が細々と営まれています。
大阪府(46位)
14,796人(偏差値36.3)。西日本の経済の中心地であり、東京都と同様に農地は少なく、農業就業人口も限られています。
石川県(45位)
17,508人(偏差値37.5)。伝統工芸や観光業が盛んであり、農業が主要産業ではないことが、就業人口の少なさに反映されています。
福井県(44位)
18,509人(偏差値38.0)。製造業が盛んな地域であり、農業よりも工業が経済の中心となっています。
奈良県(43位)
19,419人(偏差値38.4)。観光業が盛んであり、農業よりもサービス業が主要産業となっています。
地域別の特徴分析
北海道・東北地方
北海道(1位)を筆頭に、福島県(5位)、青森県(9位)、岩手県(8位)、山形県(10位)と、日本の主要な農業地帯であることがわかります。広大な土地と豊かな自然を背景に、国の食料生産の根幹を支えています。
関東地方
茨城県(2位)、千葉県(6位)、栃木県(9位)など、首都圏近郊に大規模な農業地帯が広がっています。大消費地への供給拠点として重要な役割を担う一方、東京都(47位)や神奈川県(45位)との間で、地域内の格差が極めて大きいのが特徴です。
中部地方
長野県(3位)、新潟県(4位)という全国トップクラスの農業県を擁します。米、野菜、果物と多様な農業が展開されており、日本の食卓を豊かにしています。
近畿地方
大阪府(46位)、奈良県(43位)、京都府(40位)など、全体的に農業就業人口が少ない地域です。都市化の影響が強く、農業は比較的小規模です。
社会的・経済的影響
農業就業人口の地域的な偏りは、食料安全保障と地域経済に大きな影響を及ぼします。北海道や東北、北関東、九州などの農業が盛んな地域が、日本の食料供給の根幹を支えています。特に、食料安全保障と地域経済の面では、農業就業人口の多い地域が日本の食料自給率向上に重要な役割を果たしています。一方で、担い手不足と高齢化が深刻な課題となっており、農業従事者の減少により地域の農業基盤が脆弱化する懸念があります。また、都市と農村の分断も進んでおり、都市部での農業への理解不足や、農村部での都市との交流機会の減少が課題となっています。
対策と今後の展望
新規就農の促進、スマート農業の導入、地域農業の活性化が重要です。若者や他産業からの転職者が農業に参入しやすくなるよう、技術指導、資金援助、農地確保の支援を強化する必要があります。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 44,609.8 |
中央値 | 38,736 |
最大値 | 96,557(北海道) |
最小値 | 10,986(東京都) |
標準偏差 | 21,708.5 |
データ数 | 47件 |
全国平均は44,611人、最小値は10,986人(東京都)、最大値は96,557人(北海道)です。北海道(96,557人)は平均の2.16倍で、明確な外れ値として分布に影響を与えています。偏差値60超の県が5県(北海道・茨城・長野・新潟・福島)存在する一方、偏差値40未満の県が5県あり、農業就業人口の地域格差が顕著です。
まとめ
農業就業人口の地域差は、北海道・東北地方で農業が盛んである一方、大都市圏では農業就業人口が少ないという特徴があります。この地域差を是正するためには、新規就農の促進が重要であり、若者や他産業からの転職者が農業に参入しやすくなる環境整備が必要です。また、スマート農業の導入により、効率的な農業経営を実現し、農業の魅力向上を図る必要があります。さらに、地域農業の活性化により、地域の特色を活かした農業の展開が重要です。今後は地域特性を活かした農業政策の推進と、担い手確保、持続可能な農業の構築が重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 北海道 | 96,557 | 73.9 | -13.3% |
2 | 茨城県 | 89,594 | 70.7 | -20.9% |
3 | 長野県 | 82,922 | 67.6 | -17.3% |
4 | 新潟県 | 79,324 | 66.0 | -19.9% |
5 | 福島県 | 77,703 | 65.2 | -28.7% |
6 | 千葉県 | 73,410 | 63.3 | -21.8% |
7 | 熊本県 | 71,900 | 62.6 | -17.5% |
8 | 岩手県 | 70,357 | 61.9 | -21.8% |
9 | 青森県 | 64,746 | 59.3 | -19.6% |
10 | 愛知県 | 63,736 | 58.8 | -17.6% |
11 | 栃木県 | 61,971 | 58.0 | -22.4% |
12 | 埼玉県 | 58,575 | 56.4 | -18.4% |
13 | 鹿児島県 | 57,881 | 56.1 | -22.2% |
14 | 静岡県 | 57,322 | 55.9 | -19.1% |
15 | 兵庫県 | 57,086 | 55.7 | -22.2% |
16 | 福岡県 | 56,950 | 55.7 | -16.4% |
17 | 秋田県 | 54,827 | 54.7 | -23.6% |
18 | 宮城県 | 54,315 | 54.5 | -23.4% |
19 | 山形県 | 53,692 | 54.2 | -16.5% |
20 | 岡山県 | 48,469 | 51.8 | -18.6% |
21 | 宮崎県 | 45,001 | 50.2 | -21.2% |
22 | 群馬県 | 44,006 | 49.7 | -22.9% |
23 | 愛媛県 | 41,104 | 48.4 | -22.1% |
24 | 岐阜県 | 38,736 | 47.3 | -17.4% |
25 | 広島県 | 37,949 | 46.9 | -18.4% |
26 | 和歌山県 | 37,913 | 46.9 | -13.5% |
27 | 大分県 | 35,208 | 45.7 | -19.9% |
28 | 長崎県 | 34,440 | 45.3 | -15.9% |
29 | 三重県 | 34,002 | 45.1 | -20.2% |
30 | 香川県 | 30,383 | 43.4 | -14.0% |
31 | 徳島県 | 30,217 | 43.4 | -21.1% |
32 | 山口県 | 28,306 | 42.5 | -19.6% |
33 | 山梨県 | 27,736 | 42.2 | -16.6% |
34 | 高知県 | 27,161 | 42.0 | -20.4% |
35 | 佐賀県 | 26,244 | 41.5 | -22.4% |
36 | 鳥取県 | 26,126 | 41.5 | -21.9% |
37 | 滋賀県 | 24,860 | 40.9 | -15.7% |
38 | 島根県 | 24,801 | 40.9 | -23.1% |
39 | 京都府 | 24,760 | 40.9 | -16.0% |
40 | 神奈川県 | 24,195 | 40.6 | -14.6% |
41 | 富山県 | 21,043 | 39.1 | -13.2% |
42 | 沖縄県 | 19,916 | 38.6 | -11.8% |
43 | 奈良県 | 19,419 | 38.4 | -6.5% |
44 | 福井県 | 18,509 | 38.0 | -21.4% |
45 | 石川県 | 17,508 | 37.5 | -21.8% |
46 | 大阪府 | 14,796 | 36.3 | -17.2% |
47 | 東京都 | 10,986 | 34.5 | -15.3% |