サマリー
宮崎県が182.1所(偏差値80.9)で全国トップ、滋賀県が45.2所(偏差値36.2)で最下位となりました。最大格差は4.0倍にも達し、深刻な地域格差が浮き彫りになっています。高齢化社会において老人ホーム数の充実度は、地域の福祉インフラの重要な指標です。九州・沖縄地方と関西地方で対照的な結果となった背景を詳しく分析します。
概要
老人ホーム数(65歳以上人口10万人当たり)は、高齢者向け介護施設の充実度を示す重要指標です。この指標は高齢者の生活の質、地域の介護基盤整備状況、福祉政策の効果を測る上で極めて重要な意味を持ちます。
全国平均は99.8所となっており、都道府県間で大きな格差が存在します。特に九州・沖縄地方では高い数値を示す県が多く、一方で関西・中部地方では低い傾向が見られます。
ランキング表示
地図データを読み込み中...
上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
宮崎県(1位)
宮崎県は182.1所(偏差値80.9)で圧倒的な1位を獲得しました。県の積極的な高齢者福祉政策と民間事業者の参入促進が功を奏しています。
主な特徴:
- 県独自の施設整備補助金制度
- 地域密着型サービスの充実
- 医療との連携強化
佐賀県(2位)
佐賀県は151.0所(偏差値70.8)で2位にランクイン。県の小規模多機能型居宅介護の普及に力を入れた政策が効果を示しています。地域包括ケアシステムの構築が進んでいます。
沖縄県(3位)
沖縄県は148.0所(偏差値69.8)で3位。急速な高齢化に対応するため、県が施設整備を積極的に推進しています。特に離島地域でのサービス拡充が注目されます。
青森県(4位)
青森県は145.1所(偏差値68.8)で4位。全国トップクラスの高齢化率を背景に、早期から施設整備に取り組んできた成果です。過疎地域での地域密着型サービスが充実しています。
群馬県(5位)
群馬県は135.1所(偏差値65.6)で5位。県の福祉政策と首都圏近郊という立地条件を活かした施設整備が進んでいます。多様な介護サービスの展開が特徴的です。
下位5県の詳細分析
福井県(43位)
福井県は54.5所(偏差値39.2)で43位。在宅介護支援に重点を置いた政策により、施設入所よりも居宅サービスが充実している特徴があります。家族介護の文化が根強く残っています。
栃木県(44位)
栃木県は50.9所(偏差値38.0)で44位。首都圏近郊という立地から、都内施設への入所が多く、県内施設数は相対的に少なくなっています。今後の施設整備計画の加速が課題です。
山梨県(45位)
山梨県は49.6所(偏差値37.6)で45位。県の地理的条件から施設の分散配置が課題となっています。人口減少地域での効率的なサービス提供が求められています。
京都府(46位)
京都府は47.3所(偏差値36.9)で46位。京都市を中心とした都市部では在宅サービスが充実している一方、施設系サービスの整備が遅れています。土地確保の困難さが影響しています。
滋賀県(47位)
滋賀県は45.2所(偏差値36.2)で最下位。県の介護政策は予防重視・在宅重視であり、施設入所抑制の方針を取っています。大阪府・京都府への依存度が高い現状があります。
地域別の特徴分析
九州・沖縄地方
九州地方は全体的に高い数値を示しています。宮崎県(182.1所)、佐賀県(151.0所)、沖縄県(148.0所)が上位3位を占めます。地域の高齢化率の高さと積極的な施設整備政策が背景にあります。
東北地方
青森県(145.1所)が4位と健闘していますが、地域全体では中程度の水準です。過疎化と高齢化の進行により、効率的なサービス提供が課題となっています。
関東地方
群馬県(135.1所)以外は全国平均を下回る県が多くなっています。首都圏への依存や土地確保の困難さが影響しています。在宅サービスの充実度が高い地域です。
関西地方
全国的に見て低い水準の県が集中しています。京都府(47位)、滋賀県(47位)など下位県が目立ちます。都市部での在宅サービス重視の政策が影響しています。
社会的・経済的影響
最上位の宮崎県(182.1所)と最下位の滋賀県(45.2所)の格差は4.0倍に達しています。この格差は地域の高齢者とその家族の生活に大きな影響を与えています。
地域間格差の主な要因:
- 自治体の介護政策の方向性の違い
- 土地確保の困難さと建設コスト
- 人材確保の難易度
- 在宅サービスとの政策バランス
施設数の少ない地域では、入所待機者の増加や家族の介護負担増大が深刻な問題となっています。一方で、施設数が多い地域でも人材不足による質の確保が課題です。
対策と今後の展望
各都道府県では地域特性に応じた取り組みが進められています。宮崎県では県独自の整備補助制度により民間参入を促進。佐賀県では地域密着型サービスの拡充に注力しています。
今後の重要な取り組み:
- 地域包括ケアシステムの構築促進
- ICT活用による効率的なサービス提供
- 人材確保・育成の強化
- 多様な住まいの選択肢の提供
下位県においても、在宅サービスの充実や広域連携による効率化など、地域の実情に合わせた対策が進められています。
統計データの基本情報と分析
全国平均99.8所に対し、中央値は91.5所となっており、上位県に引き上げられた分布を示しています。標準偏差32.4は比較的大きく、都道府県間の格差が顕著であることを表しています。
宮崎県(182.1所)は統計的な外れ値として際立っており、全体分布への影響が大きくなっています。第1四分位76.3所から第3四分位119.5所の範囲に約半数の都道府県が分布しています。
偏差値の分布では、80を超える県が2県、40を下回る県が5県となり、両極端な分布特性を示しています。
まとめ
2022年度の老人ホーム数(65歳以上人口10万人当たり)分析から以下の特徴が明らかになりました:
- 宮崎県が182.1所で全国1位、積極的な施設整備政策が奏功
- 九州・沖縄地方が上位を独占、地域の高齢化対応が進展
- 関西地方は軒並み下位、在宅サービス重視の政策が影響
- 最大4.0倍の地域格差、介護基盤の不平等が深刻
- 都市部と地方で政策方針が対照的、地域特性に応じた取り組み
- 人材確保と質の確保が共通課題、持続可能な制度構築が必要
今後は各地域の実情に合わせた介護基盤整備と、広域連携による効率化が重要になります。継続的な政策効果の検証と改善が求められています。