都道府県別有効求人倍率ランキング(2022年度)

概要

有効求人倍率とは、ハローワークに登録されている求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標です。この数値が高いほど求職者にとって就職しやすい環境であることを意味し、地域の雇用情勢や経済活動の活発さを反映しています。2022年度のデータによると、製造業が盛んな地域や人口減少が進む地方で高く、大都市のベッドタウンや若年層の多い地域で低い傾向が見られます。

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上位県と下位県の比較

上位5県と下位5県の詳細説明

上位5県

1位は福井県1.94倍(偏差値72.3)と全国で最も高い有効求人倍率を示しています。福井県は製造業が盛んで、特に繊維産業や眼鏡産業などの地場産業が発達しており、人口減少も相まって労働力不足が顕著になっていることが要因と考えられます。

2位は島根県1.91倍(偏差値71.1)となっています。島根県は人口減少が進む中で、製造業や医療・福祉分野での求人が多く、求職者数を上回る求人があることが背景にあります。

3位は新潟県1.75倍(偏差値64.6)です。新潟県は製造業や建設業を中心に人材需要が高く、特に金属製品や機械製造などの分野で求人が多いことが高い倍率につながっています。

4位は岐阜県1.70倍(偏差値62.5)、5位は山形県長野県でともに1.66倍(偏差値60.9)となっています。これらの県も製造業が基幹産業となっており、特に自動車関連や電子部品などの分野での求人が多いことが特徴です。

下位5県

47位は神奈川県0.88倍(偏差値28.9)と最も低い倍率となっています。神奈川県は東京都のベッドタウンとしての側面が強く、県内での求人に対して求職者数が多いことが低い倍率の要因となっています。

46位は千葉県0.96倍(偏差値32.2)となっています。千葉県も首都圏のベッドタウンとして求職者が多い一方、県内の求人数が限られていることが影響しています。

45位は沖縄県0.99倍(偏差値33.5)です。沖縄県は観光業に依存する経済構造があり、新型コロナウイルスの影響で観光業が打撃を受けたことが低い倍率の要因となっています。また、若年層の人口比率が高く、求職者数が多いことも影響しています。

44位は兵庫県1.02倍(偏差値34.7)、43位は埼玉県1.05倍(偏差値36.2)となっています。両県とも大都市圏のベッドタウンとしての特性があり、県内での就職を希望する求職者に対して求人数が追いついていない状況が見られます。

地域別の特徴分析

北陸地方の高さ

北陸地方では、福井県(1.94倍)、新潟県(1.75倍)、富山県(1.63倍)、石川県(1.56倍)と全県が高い倍率を示しています。この地域は製造業が盛んで、特に伝統産業と先端産業が共存していること、また人口減少による労働力不足が顕著であることが高い倍率の要因です。

中国地方の好調さ

中国地方も、島根県(1.91倍)、鳥取県・広島県(ともに1.61倍)、山口県(1.60倍)など高い倍率を示しています。人口減少が進む中で、製造業や医療・福祉分野での求人が多いことが特徴です。

首都圏の低さ

首都圏では、神奈川県(0.88倍)、千葉県(0.96倍)、埼玉県(1.05倍)と低い倍率となっています。東京都(1.46倍)は比較的高いものの、そのベッドタウンとなる周辺県では県内での就職を希望する求職者に対して求人数が少ない状況が見られます。

格差や課題の考察

産業構造による格差

製造業が盛んな地域では有効求人倍率が高く、観光業やサービス業が中心の地域では低い傾向があります。製造業は安定した雇用を生み出す一方、サービス業は外部環境の変化に影響を受けやすいという特性があります。

人口動態と労働市場

人口減少が進む地方では労働力不足が顕著になり、有効求人倍率が高くなる傾向があります。一方、若年層の多い地域や大都市のベッドタウンでは求職者数が多く、倍率が低くなりやすいという特徴があります。

雇用のミスマッチ

有効求人倍率が高い地域でも、求人と求職者のスキルや条件のミスマッチにより、実際の就職が難しいケースがあります。特に地方では専門職や技術職の人材不足が課題となっています。

統計データの基本情報と分析

統計的分析

全国の有効求人倍率の平均値は約1.37倍中央値は約1.43倍となっており、やや左に偏った分布をしていることがわかります。最大値(福井県の1.94倍)と最小値(神奈川県の0.88倍)の差は1.06ポイントと大きく、都道府県間の格差は顕著です。

標準偏差は約0.27倍で、データのばらつきは比較的大きいと言えます。特に、上位の北陸・中国地方の県と下位の首都圏周辺県の間には明確な差があり、地域による雇用環境の違いが表れています。

四分位範囲を見ると、上位25%の県は約1.58倍以上、下位25%の県は約1.17倍以下となっており、中間50%の県は比較的近い値に集中しています。これは、極端に高い、または低い一部の県を除けば、多くの県が似通った状況にあることを示しています。

まとめ

2022年度の有効求人倍率は、福井県が1.94倍で全国1位、神奈川県が0.88倍で全国47位となりました。製造業が盛んな北陸地方や中国地方で高く、首都圏のベッドタウンで低い傾向が明確に表れています。

この指標は、地域の雇用情勢や経済活動の活発さを反映しており、地域経済の健全性を測る上で重要な視点を提供しています。人口減少や産業構造の変化が進む中、地域特性に応じた雇用創出や人材育成の取り組みが求められます。

出典