都道府県別第3次産業就業者数ランキング(2020年度)

概要

第3次産業就業者数とは、サービス業、小売業、金融業、運輸業などの第3次産業に従事している人の数を指します。この記事では、2020年度の都道府県別第3次産業就業者数のランキングを紹介します。

第3次産業就業者数は、地域の産業構造や経済基盤を反映する重要な指標であり、特に都市部や観光地では就業者数が多くなる傾向があります。東京都や大阪府などの大都市圏で第3次産業就業者数が多く、鳥取県や島根県などの人口規模が小さい地域で少なくなっています。

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上位県と下位県の比較

第3次産業就業者数が多い上位5県

2020年度の第3次産業就業者数ランキングでは、東京都4,833,623人(偏差値92.8)で全国1位となりました。東京都は日本の政治・経済・文化の中心地であり、金融業、情報通信業、専門サービス業など多様な第3次産業が集積しています。国内外の企業の本社機能が集中しており、第3次産業就業者数が突出して多くなっています。

2位は神奈川県3,175,503人(偏差値74.9)、3位は大阪府2,678,446人(偏差値69.6)、4位は埼玉県2,471,070人(偏差値67.3)、5位は愛知県2,297,585人(偏差値65.4)となっています。上位県には大都市圏や人口規模の大きい都道府県が多く含まれており、第3次産業が地域経済において重要な役割を果たしていることがわかります。

第3次産業就業者数が少ない下位5県

最も第3次産業就業者数が少なかったのは鳥取県184,007人(偏差値42.7)でした。鳥取県は日本で人口が最も少ない県であり、大規模な都市部が少ないことから、第3次産業就業者数も少なくなっています。

46位は高知県216,760人(偏差値43.0)、45位は徳島県220,298人(偏差値43.0)、44位は島根県226,127人(偏差値43.1)、43位は福井県252,272人(偏差値43.4)となっています。下位県には人口規模が小さい地域や、地方部が多く含まれており、第3次産業の集積が限られていることがわかります。

地域別の特徴分析

東北地方の第3次産業の状況

東北地方では、宮城県(14位、772,212人)の第3次産業就業者数が最も多く、福島県(22位、540,975人)がそれに続いています。その他の県は、青森県(31位、404,441人)、岩手県(32位、389,295人)、秋田県(38位、306,541人)、山形県(36位、331,954人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

東北地方全体として第3次産業就業者数が中位から下位に位置している理由としては、大都市圏と比較して人口規模が小さいことや、第1次産業や第2次産業の比率が比較的高いことが挙げられます。特に、農業や漁業などの第1次産業が地域経済において重要な役割を果たしている地域では、相対的に第3次産業の比率が低くなる傾向があります。

特に宮城県で東北地方の中では第3次産業就業者数が多い理由としては、仙台市という東北地方最大の都市を有していることが挙げられます。仙台市は東北地方の経済・文化の中心地であり、商業、金融業、サービス業などの第3次産業が集積しています。また、東北大学をはじめとする高等教育機関や研究機関も多く、教育・研究関連の就業者も多くなっています。

一方、秋田県で東北地方の中では第3次産業就業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことや、第1次産業(特に農業)の比率が比較的高いことが挙げられます。また、大規模な都市部が少なく、商業やサービス業の集積が限られていることも要因となっています。

関東地方の第3次産業の集積

関東地方では、東京都(1位、4,833,623人)の第3次産業就業者数が突出して多く、神奈川県(2位、3,175,503人)、埼玉県(4位、2,471,070人)、千葉県(6位、2,166,702人)がそれに続いています。その他の県は、茨城県(12位、872,083人)、栃木県(20位、571,094人)、群馬県(18位、593,348人)と、全国的に見ると上位から中位に位置しています。

関東地方全体として第3次産業就業者数が多い理由としては、東京都を中心とした首都圏に人口や企業が集中していることが挙げられます。特に、東京都には国内外の企業の本社機能や金融機関、情報通信業、専門サービス業などが集積しており、第3次産業の就業者数が極めて多くなっています。

特に東京都で第3次産業就業者数が突出して多い理由としては、日本の政治・経済・文化の中心地であることが挙げられます。国会や中央省庁などの政府機関、東京証券取引所などの金融機関、大手企業の本社、メディア関連企業など、多様な第3次産業が集積しています。また、国際的な企業や機関も多く立地しており、グローバルな経済活動の拠点となっています。

また、神奈川県、埼玉県、千葉県などの東京都周辺県で第3次産業就業者数が多い理由としては、東京都のベッドタウンとしての性格を持ちながらも、横浜市、さいたま市、千葉市などの大都市を有していることが挙げられます。これらの都市には商業施設やオフィスビルも多く立地しており、小売業やサービス業などの第3次産業が発達しています。

中部・北陸地方の産業バランス

中部・北陸地方では、愛知県(5位、2,297,585人)の第3次産業就業者数が最も多く、静岡県(10位、1,141,032人)がそれに続いています。その他の県は、新潟県(15位、704,334人)、石川県(33位、380,462人)、富山県(37位、329,678人)、福井県(43位、252,272人)、山梨県(42位、255,564人)、長野県(16位、633,501人)、岐阜県(17位、613,840人)と、全国的に見ると上位から下位まで幅広く分布しています。

中部・北陸地方全体として第3次産業就業者数にばらつきがある理由としては、地域によって人口規模や産業構造が大きく異なることが挙げられます。特に、愛知県や静岡県などの大都市を有する県では第3次産業就業者数が多く、福井県や山梨県などの人口規模が小さい県では少なくなっています。

特に愛知県で中部・北陸地方の中では第3次産業就業者数が多い理由としては、名古屋市という大都市を有していることや、自動車産業を中心とした製造業の発達に伴い、関連するサービス業や商業も発達していることが挙げられます。名古屋市には商業施設やオフィスビルも多く立地しており、小売業、金融業、サービス業などの第3次産業が集積しています。

一方、福井県で中部・北陸地方の中では第3次産業就業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことや、繊維産業などの製造業の比率が比較的高いことが挙げられます。また、大規模な都市部が少なく、商業やサービス業の集積が限られていることも要因となっています。

近畿地方の都市型サービス業

近畿地方では、大阪府(3位、2,678,446人)の第3次産業就業者数が最も多く、兵庫県(9位、1,678,329人)がそれに続いています。その他の県は、京都府(13位、790,802人)、奈良県(28位、419,099人)、滋賀県(29位、416,840人)、和歌山県(40位、287,585人)と、全国的に見ると上位から中位に位置しています。

近畿地方全体として第3次産業就業者数が比較的多い理由としては、大阪府や兵庫県などの大都市圏を有していることが挙げられます。特に、大阪市や神戸市などの大都市には商業施設やオフィスビルが多く立地しており、小売業、金融業、サービス業などの第3次産業が発達しています。

特に大阪府で近畿地方の中では第3次産業就業者数が多い理由としては、大阪市という日本第二の都市を有していることが挙げられます。大阪市は関西地方の経済・文化の中心地であり、商業、金融業、サービス業などの第3次産業が集積しています。特に、梅田や難波などの商業地区には大規模な商業施設が立地しており、小売業や飲食業などの就業者が多くなっています。

一方、和歌山県で近畿地方の中では第3次産業就業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことや、第1次産業(特に農業と漁業)の比率が比較的高いことが挙げられます。また、大規模な都市部が少なく、商業やサービス業の集積が限られていることも要因となっています。

中国・四国地方の地域特性

中国・四国地方では、広島県(11位、909,409人)の第3次産業就業者数が最も多く、岡山県(19位、577,858人)がそれに続いています。その他の県は、鳥取県(47位、184,007人)、島根県(44位、226,127人)、山口県(27位、423,776人)、徳島県(45位、220,298人)、香川県(39位、301,271人)、愛媛県(30位、404,912人)、高知県(46位、216,760人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

中国・四国地方全体として第3次産業就業者数が中位から下位に位置している理由としては、大都市圏と比較して人口規模が小さいことや、第1次産業や第2次産業の比率が比較的高いことが挙げられます。特に、中山間地域や島嶼部が多い地理的特性から、大規模な商業施設やオフィスビルの立地が限られており、第3次産業の集積が進みにくい面もあります。

特に広島県で中国・四国地方の中では第3次産業就業者数が多い理由としては、広島市という中国地方最大の都市を有していることが挙げられます。広島市は中国地方の経済・文化の中心地であり、商業、金融業、サービス業などの第3次産業が集積しています。また、観光業も発達しており、宮島(厳島神社)や原爆ドームなどの観光地には多くの観光客が訪れ、関連するサービス業の就業者も多くなっています。

一方、鳥取県で中国・四国地方の中では第3次産業就業者数が最も少ない理由としては、日本で人口が最も少ない県であることが挙げられます。人口規模が小さいため、商業やサービス業の市場規模も限られており、第3次産業の就業者数も少なくなっています。また、大規模な都市部が少なく、商業やサービス業の集積が限られていることも要因となっています。

九州・沖縄地方の観光と都市型サービス業

九州・沖縄地方では、福岡県(8位、1,687,998人)の第3次産業就業者数が最も多く、熊本県(21位、560,851人)がそれに続いています。その他の県は、佐賀県(41位、267,757人)、長崎県(26位、446,057人)、大分県(34位、360,834人)、宮崎県(35位、338,196人)、鹿児島県(24位、525,048人)、沖縄県(25位、451,426人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

九州・沖縄地方全体として第3次産業就業者数が中位から下位に位置している理由としては、福岡県を除いて大都市圏と比較して人口規模が小さいことや、第1次産業の比率が比較的高いことが挙げられます。特に、農業や漁業が盛んな地域では、相対的に第3次産業の比率が低くなる傾向があります。

特に福岡県で九州・沖縄地方の中では第3次産業就業者数が多い理由としては、福岡市という九州地方最大の都市を有していることが挙げられます。福岡市は九州地方の経済・文化の中心地であり、商業、金融業、サービス業などの第3次産業が集積しています。また、博多港や福岡空港などの交通の要衝でもあり、物流や観光関連の産業も発達しています。

一方、佐賀県で九州・沖縄地方の中では第3次産業就業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことや、第1次産業(特に農業)の比率が比較的高いことが挙げられます。また、大規模な都市部が少なく、商業やサービス業の集積が限られていることも要因となっています。

特筆すべきは沖縄県(25位、451,426人)で、人口規模の割に第3次産業就業者数が比較的多いことです。これは、観光業が極めて発達していることが大きな要因です。沖縄県は日本有数の観光地であり、宿泊業、飲食業、小売業、レジャー産業などの観光関連産業が発達しています。第3次産業就業者比率は全国でも最も高い水準にあり、地域経済における第3次産業の重要性が極めて高くなっています。

格差や課題の考察

人口規模と第3次産業就業者数の関係

第3次産業就業者数の地域間格差は、人口規模との関連性が非常に強く見られます。一般的に、人口規模が大きい都道府県ほど第3次産業就業者数も多くなる傾向があります。これは、人口集積に伴い、小売業、飲食業、サービス業などの市場規模も拡大するためです。

例えば、東京都(1位、4,833,623人)、神奈川県(2位、3,175,503人)、大阪府(3位、2,678,446人)などの人口規模が大きい都道府県では、第3次産業就業者数も多くなっています。特に、大都市圏では商業施設やオフィスビルが集積しており、小売業、金融業、サービス業などの第3次産業が発達しています。

一方、鳥取県(47位、184,007人)、島根県(44位、226,127人)、高知県(46位、216,760人)などの人口規模が小さい都道府県では、第3次産業就業者数も少なくなっています。これらの県では、商業やサービス業の市場規模も限られており、第3次産業の集積が進みにくい面があります。

しかし、人口規模だけでなく、産業構造や地域特性も第3次産業就業者数に影響を与えています。例えば、沖縄県(25位、451,426人)は人口規模の割に第3次産業就業者数が比較的多く、第3次産業就業者比率も全国で最も高い水準にあります。これは、観光業が極めて発達していることが大きな要因です。

都市部と地方部の格差

第3次産業就業者数の地域間格差は、都市部と地方部の経済格差とも関連しています。特に、大都市圏では第3次産業の集積が進んでおり、多様な雇用機会や高い所得水準が確保されています。一方、地方部では第3次産業の集積が限られており、雇用機会や所得水準も相対的に低くなる傾向があります。

例えば、東京都(1位、4,833,623人)では、金融業、情報通信業、専門サービス業など、高付加価値の第3次産業が集積しており、高い所得水準や多様な雇用機会が確保されています。特に、国内外の企業の本社機能が集中しており、経営・管理部門や研究開発部門などの高度な人材も多く集まっています。

一方、鳥取県(47位、184,007人)などの地方部では、第3次産業の集積が限られており、高付加価値のサービス業や専門職の雇用機会も相対的に少なくなっています。特に、若年層や高学歴層の雇用機会が限られており、人口流出や高齢化の一因となっています。

このような都市部と地方部の格差を是正するためには、地方部における第3次産業の高度化や多様化が重要です。特に、地域資源を活用した観光業の振興や、テレワークの普及によるIT関連産業の地方展開、高齢化に対応した医療・福祉サービスの充実などが、地方部における第3次産業の発展の鍵となる可能性があります。

デジタル化と第3次産業の変化

第3次産業就業者数の地域間格差は、デジタル化の進展による産業構造の変化とも関連しています。特に、情報通信技術の発達により、一部のサービス業ではオンライン化が進み、地理的制約が緩和されつつあります。これにより、地方部でも高付加価値のサービス業が展開できる可能性が広がっています。

例えば、東京都(1位、4,833,623人)では、IT企業やデジタルサービス企業が多数立地しており、デジタル化の恩恵を最も受けている地域の一つです。特に、情報通信業やデジタルコンテンツ産業などの新たな第3次産業が発達しており、高い付加価値と雇用を生み出しています。

一方、地方部でもテレワークの普及により、IT関連産業やクリエイティブ産業などの立地が可能になりつつあります。特に、自然環境や生活コストの面で優位性を持つ地方部では、ワーケーションやサテライトオフィスの誘致などの取り組みも進んでいます。

このようなデジタル化の進展は、第3次産業の地域間格差を是正する可能性を持っていますが、デジタルインフラの整備や人材育成などの課題も残されています。特に、高速インターネット環境の整備や、デジタルスキルを持つ人材の育成・確保が、地方部における第3次産業の発展の鍵となる可能性があります。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2020年度の都道府県別第3次産業就業者数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値は約800,000人、中央値は約450,000人と平均値が中央値を大きく上回っており、データが右に強く歪んでいることを示しています。これは、東京都(4,833,623人)や神奈川県(3,175,503人)などの一部の都道府県で第3次産業就業者数が特に多いことを反映しています。

  2. 分布の歪み:データは全体として強い正の歪みを示しており、右に長い裾を持つ分布となっています。特に、東京都(4,833,623人)は他の都道府県と比べて突出して高い値を示しており、外れ値と考えられます。

  3. 外れ値の特定:東京都(4,833,623人)は上側の外れ値と考えられ、平均値を大きく上回っています。また、神奈川県(3,175,503人)や大阪府(2,678,446人)なども上側の外れ値と考えられます。これは、これらの都道府県の大都市圏としての特性を反映していると考えられます。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約300,000人、第3四分位数(Q3)は約800,000人で、四分位範囲(IQR)は約500,000人です。これは、中央の50%の都道府県の第3次産業就業者数が300,000人から800,000人の間に収まっていることを示しており、多くの県が比較的近い就業者数であることがわかります。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約1,000,000人で、変動係数(標準偏差÷平均値)は約125%となり、相対的なばらつきが非常に大きいことを示しています。特に、最高値(東京都、4,833,623人)と最低値(鳥取県、184,007人)の差は4,649,616人と非常に大きく、地域間の格差が顕著であることを示しています。

まとめ

2020年度の都道府県別第3次産業就業者数ランキングでは、東京都が4,833,623人で1位、鳥取県が184,007人で47位となりました。上位には東京都、神奈川県、大阪府などの大都市圏や人口規模の大きい都道府県が多く、下位には鳥取県、高知県、徳島県などの人口規模が小さい地方県が多く見られました。

第3次産業就業者数の地域差は、人口規模、産業構造、地理的特性など様々な要素を反映しており、この差は地域経済、雇用環境、所得水準など様々な面に影響を与えています。特に、大都市圏では第3次産業の集積が進んでおり、多様な雇用機会や高い所得水準が確保されています。一方、地方部では第3次産業の集積が限られており、雇用機会や所得水準も相対的に低くなる傾向があります。

統計分析からは、都道府県間の第3次産業就業者数の格差が顕著であることがわかります。特に、東京都や神奈川県などの上位県と、鳥取県や高知県などの下位県との間には大きな差があります。これは、人口規模や産業構造の違いを反映していると考えられます。

第3次産業は、日本経済の中で最も大きな割合を占める産業であり、今後も雇用の中心的な役割を果たすことが予想されます。特に、デジタル化の進展により、新たなサービス業やビジネスモデルが生まれており、第3次産業の多様化や高度化が進んでいます。このような変化の中で、地方部における第3次産業の振興や、デジタル技術を活用した地域間格差の是正などの取り組みが重要となっています。

出典