都道府県別児童福祉施設等従事者数（人口10万人当たり）ランキング（2022年度）

サマリー

2022年度の児童福祉施設等従事者数で、沖縄県が284.9人（偏差値96.0）で全国トップに。最下位の新潟県68.8人（偏差値36.4）との格差は4.1倍に。児童福祉の充実度は地域の子育て環境を左右する重要指標です。

概要

児童福祉施設等従事者数は、保育園・幼稚園・児童館などで働く職員の人口10万人当たりの数を表します。この指標は地域の子育て支援体制の充実度を示し、働く親の支援や子どもの健全育成に直結する重要な要素です。

全国平均は110.8人で、最高値の沖縄県と最低値の新潟県で4倍超の格差が発生。南西部と東日本で明確な差が見られ、地域の子育て環境格差が浮き彫りになっています。

上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

沖縄県（1位）

沖縄県は284.9人（偏差値96.0）で圧倒的な全国1位を獲得。若年人口比率が高く、出生率も全国トップクラスのため児童福祉ニーズが大きいことが要因です。

出生率1.80（全国1位）で子どもの人口が多い
認可外保育施設が多数存在
基地関連施設での託児サービスも充実

宮城県（2位）

宮城県は189.5人（偏差値69.7）で2位にランクイン。仙台市を中心とした都市部で共働き世帯が多く、保育ニーズの高さが従事者数の多さに直結しています。

待機児童解消に向けた積極的な施設整備
東日本大震災復興での子育て支援強化
企業内保育所の設置推進

鳥取県（3位）

鳥取県は175.4人（偏差値65.8）で3位を確保。人口規模が小さいながら、手厚い子育て支援政策で高い水準を維持しています。

子育て王国とっとり推進の政策効果
小規模保育事業の充実
地域密着型の子育て支援体制

佐賀県（4位）

佐賀県は162.8人（偏差値62.3）で4位を記録。九州地方の特徴的な大家族制度と地域コミュニティが児童福祉を支えています。

小規模多機能型の児童福祉施設が多い
地域ボランティアとの連携強化
認定こども園の普及推進

鹿児島県（5位）

鹿児島県は158.0人（偏差値61.0）で5位に位置。離島部を含む広域な地域特性に対応した分散型の施設配置が特徴です。

離島・へき地での訪問型保育サービス
多世代同居率が高く家族支援ニーズが大きい
地域密着型の子育て支援ネットワーク

下位5県の詳細分析

群馬県（43位）

群馬県は81.3人（偏差値39.8）で43位に低迷。製造業中心の産業構造で、企業内保育よりも家族による子育てが主流となっている可能性があります。

三世代同居率が比較的高い
製造業での長時間労働により保育ニーズが限定的
保育士確保に課題

岐阜県（44位）

岐阜県は78.5人（偏差値39.1）で44位タイ。愛知県への通勤圏でありながら、保育施設の整備が需要に追いついていない状況です。

名古屋圏のベッドタウン化が進行
保育士の愛知県流出が課題
待機児童対策が急務

愛知県（44位）

愛知県は78.5人（偏差値39.1）で44位タイ。製造業が盛んで企業主導の子育て支援が中心となり、公的施設の従事者数が相対的に少ない可能性があります。

トヨタ自動車をはじめとする企業内保育が充実
公的施設よりも民間・企業主導が主流
都市部での保育士確保競争が激化

富山県（46位）

富山県は73.9人（偏差値37.8）で46位。三世代同居率が全国トップクラスで、家族による子育て支援が主流のため施設従事者が少ない傾向です。

三世代同居率65.2%で全国1位
持ち家率も高く安定した子育て環境
祖父母による育児支援が一般的

新潟県（47位）

新潟県は68.8人（偏差値36.4）で最下位。人口減少と高齢化の影響で児童数が減少し、施設統廃合により従事者数も減少している状況です。

出生率1.29で全国平均を下回る
人口減少により児童福祉施設の統廃合が進行
保育士の県外流出が深刻化

地域別の特徴分析

九州・沖縄地方

沖縄県、佐賀県、鹿児島県が上位にランクインし、地域全体で児童福祉が充実。出生率の高さと大家族制度が背景にあります。伝統的な子育て支援文化と現代的な施設整備が両立している地域です。

東北地方

宮城県が2位と突出する一方、他県は中位に位置。復興需要による子育て支援の強化と、都市部への人口集中が要因となっています。

中国・四国地方

鳥取県が3位と健闘するものの、地域全体では中位が多数。人口減少対策として子育て支援に注力する県とそうでない県で格差が拡大しています。

関東地方

全体的に下位が目立ち、都市部での保育士不足が深刻化。高い人件費と激しい競争により、施設運営が困難な状況が続いています。

中部地方

富山県、新潟県が最下位圏で、家族による子育て支援が主流。一方で岐阜県、愛知県も下位にあり、都市化の影響で課題が表面化しています。

社会的・経済的影響

最上位の沖縄県284.9人と最下位の新潟県68.8人で4.1倍の格差が発生し、地域間の子育て環境格差が深刻化。この格差は働く母親の就業継続率や地域の経済活性化に直接影響します。

従事者数の多い地域では待機児童が少なく、女性の社会進出が促進。一方、従事者数の少ない地域では子育てを理由とした離職が多く、人材流出の要因となっています。

対策と今後の展望

保育士の処遇改善と資格取得支援が急務で、国の処遇改善等加算制度の拡充が必要です。地域特性を活かした柔軟な施設運営と、ICT活用による業務効率化も重要な課題となります。

成功事例として鳥取県の「子育て王国とっとり」政策や、沖縄県の認可外保育施設活用が注目。今後は働き方改革と連動した子育て支援の総合的な取り組みが求められています。

統計データの基本情報と分析

全国平均110.8人に対し、標準偏差が38.6と比較的大きく、地域間格差の存在を示しています。第3四分位点132.9人と第1四分位点95.4人の差は37.5人で、中位層でも相当な開きがあることが判明。

最大値の沖縄県284.9人は平均から4.5標準偏差も離れており、明確な外れ値として特異な状況を示しています。この分布は地域の社会構造や政策の違いが如実に現れた結果といえます。

まとめ

沖縄県が284.9人で圧倒的1位、出生率の高さが主要因
東日本で下位集中、家族支援型から施設支援型への転換が課題
4.1倍の地域格差が女性就業と地域経済に深刻な影響
九州・中国地方が上位、地域特性を活かした政策が奏功
保育士処遇改善と地域間人材流動の是正が急務
継続的なモニタリングにより格差解消に向けた取り組み強化が必要

今後は地域の実情に応じた柔軟な子育て支援策と、全国的な人材確保対策の両輪で格差解消を目指すことが重要です。